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久々湊盈子『世界黄昏』  ~他人の記憶に入りゆくような、ほか

歌集読む 204

久々湊盈子『世界黄昏』。
砂子屋書房。2017年8月。第9歌集。

8/4の記事で『合歓』をやったので、その流れで今回は久々湊さんの歌集を見ていく。1ページ2首で300ページくらいある。厚い。
帯の文がむずかしい。三つくらいわからない言葉がある。

「黄昏」で「こうこん」と読む。オレのスマホで「こうこん」と打つと「合コン」 が出る。




誰も誰かのただひとりにて雨あとの空にいつもの夕星(ゆうつづ)が出る
/久々湊盈子『世界黄昏』



これの世に七人の敵あり身内にも潜む敵ありケーキ屋の前
/久々湊盈子『世界黄昏』

→ピリッとしたところから結句で落とした。甘いものを食べたい気持ちが敵だというんだね。ちょっとかわいいじゃないですか。

最近、吉本興業の関係でいろいろ動画を見たんだけど、千原ジュニアが、「笑いとは緊張と緩和だ」と言っていた。
それをこの歌に当てはめると「敵あり」の繰り返しが緊張を高めていて、「ケーキ屋」で緩和している。



絞めやすそうなほそきうなじをさしのべて昼の電車に居眠るおみな
/久々湊盈子『世界黄昏』



他人(ひと)の記憶に入りゆくような夕まぐれ路地に醤油の焦げるにおいす
/久々湊盈子『世界黄昏』

→よその家からくる料理の匂いって、想像力を刺激してくる。どんな料理でどんな家庭なのか。
「他人の記憶に入りゆくような」がおもしろい。空は暗くなってきて、入り組んで視界が狭くなっていて、自分と他人の境界も曖昧になる。
路地だから狭いとは限らないのかもと思ってGoogleで画像検索したら、いい感じの画像が並んでいた https://t.co/ecNMtpJnu3



電動ハブラシ考案せしはいずこなるずぼら男か 日々愛用す
/久々湊盈子『世界黄昏』



「もっときたなく死んでください」エキストラの友が三回斬られし映画
/久々湊盈子『世界黄昏』



右折せよ右折せよと指図してこのごろ日本のナビはうるさい
/久々湊盈子『世界黄昏』

→政治とか、これからの世界への不安の歌がけっこうあるんだけど、このへんまで降りてきてくれればオレにもなんとか読めるかなーってところだ。時事川柳みたいだけども。



紀香のグラビアいちばん上に縛り上げ廃品回収の車待つなり
/久々湊盈子『世界黄昏』

→すこしエロスを漂わせて、それから「廃品回収」の生活感へ落としてきた。


丸つけた歌は以上です。滑稽味のある歌を多く引いたなあ。政治の歌も多いけど、ゆったりしたところのある歌集だと思う。そこがオレにはプラスだった。
この本おわり。




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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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