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『合歓』84号  ~四捨五入してわたしを拾う、ほか

結社誌読む 152



『合歓』84号。2019年4月。




けっこう何度も取り上げている本なんだけど、馴染みのない方がほとんどだと思って説明します。
『合歓』は久々湊盈子さんを代表とする合歓の会が出している本。季刊。90ページ。久々湊さんによるインタビューがあるのが特徴か。



雨やみし路地裏ゆけば器なすものみな水をたたへてゐたり
/志垣澄幸



われにしか愚痴れぬ娘なれば詮なしと蜜柑の筋を丁寧にとる
/小田亜起子「声なき声を」

→娘の愚痴を聞いているのだろう。みかんを丁寧に食べるように、娘にも丁寧に接しているということか。そういうものだということで淡々としているように感じた。



B型のわれは立ち居を慎まむゴリラに多き血液型ゆえ
/関井宮子「墓終い」





暗きなか唇ほどのわづかなるあかり消えたり闇ふくらめり
/伊藤一彦『光の庭』

刺し違ふるごとく間近を走りあふ電車のはらわたの中にゐる
/伊藤一彦『光の庭』

歌集評のページから。一首目。灯りを「唇ほど」と見立てるのが非凡だ。ピンク色だったりしたのだろうか。ふくらんだ闇に、唇の感触がまだ残っているように感じられた。
ニ首目は電車のすれ違いに時代劇みたいな、別の種類の迫力が上乗せされた。



出しきれず残る力の重たさにうなだれてをり敗けし少年
/福士りか『サント・ネージュ』



雑踏で全身音にまみれしが四捨五入してわたしを拾う
/桑名知華子

→斉藤斎藤さんみたいな下の句だと思った。
雑踏のさまざまな音や言葉をすべて受け止めることはできない。切り捨てて切り捨てて自分を保つのだ。
これは前号評で見た歌。今回はどんな歌を出してるのかと思って名前を探したが、いなかった。

この本おわり。

何度も取り上げているけど、それだけ好きな本なのかというと別にそういうわけじゃない。いまのところ、届いたものはだいたい読めていて、読んだものにはだいたい感想を書いているんです。



んじゃまた。




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noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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