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「岡大短歌6」を読む  ~ソフトクリームの中は虚ろです、ほか


岡大短歌6。

「岡大短歌6」を読みました。
連作8首、一首評、書評、20首連作、16首連作とゲストによる評、ゲストによる特別寄稿、という内容になっている。



雨の日の、謝ることは許されることではないが傘をひろげる/川上まなみ「貝殻を拾う」

欠伸ひとつ噛み殺してなにが守れるわけでもないが 風の午後/白水裕子「風の午後」

声はまたふるえと風とに分かたれて人を呼んでも花散るばかり/加瀬はる「鳥影と知る」

というふうに丸つけた歌をならべてみると、傾向があるみたい。傘をひろげたり、あくびを噛み殺したりというなにげない動きが、許すこと、なにか守ることといった精神的なところにつながっていく。
声の歌は、声が分解されているところからぐわっと切ないところへ移る。



先輩に奢って貰うコンビニのソフトクリームの中は虚ろです
片耳から落ちたイヤホンぶら下げて夕日がそれを血のようにする
/大原里梨歌「ふりだし」

→たぶん初めて作品を拝見する方なんだけど、いい歌をつくりますね。
ソフトクリーム、たしかに中が空洞のやつあるある。急にここだけ「です」になるけど、先輩がいるから気にならない。先輩に言ってはいないだろうけども。イメージがよくわかるし、それが心の中のことのようでもある。
イヤホンの歌も、ぶらさがっているイヤホンの様子はイメージしやすい。わかりやすいイメージから、奇怪なイメージへと移る。



それぞれが親の都合であの街にいただけだった少年少女

踊り場に風が生まれる しまうまのかばんの人とよくすれ違う
/長谷川麟「オーバーフェンス」

→20首連作から。20首ってけっこう長いんで、何が芯になっているんだろうと考えて読んだりするわけです。「君」と「僕」の恋、ということで見ました。ときどき飛び抜けた今ふうの単語が出てくる。
踊り場の歌は、踊り、風、しまうまといった言葉がイメージを遠くへ運んでいる。階段なのに、草原みたいで広がりがある。



背景に紺色が似合う君だけど意外と引いたら押してくる 好き/村上航「エンドロールの5番目より」
→テンション高い作品をつくる人なんですね。アッパーパンチではじまって嗚咽でおわる連作。
服の色とかじゃなくて背景の色っていうのがおもしろい。紺はおとなしいほうの色だけど、見かけによらない人なんですね。「引いたら押してくる」もいい。かけひき。



十何年昔に死んだ猫の名が夢に出る 脈うつ楡の根として/加瀬はる「楡の根」



ところどころに、イラストつきの自己紹介があるのが楽しくてよかったです。
この本おわり。



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【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
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「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
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「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【2】
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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