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『震災のうた 1800日の心もよう』を読んだ


河北新報社編集局編『震災のうた 1800日の心もよう』を読んだ。
河北新報出版センター。2016年8月。
河北新報という新聞の「河北歌壇」に入選した震災の短歌から選ばれて掲載されている。

河北新報出版センターの本は、こちら宮城ではけっこう売ってるけど、ほかの地域ではどうだかわからない。ローカルな本なのかもしれない。

河北歌壇の選者は佐藤通雅さんと花山多佳子さん。オレも河北歌壇に送ってたけど、この本には載ってません。



友捜し海沿いの街彷徨(さまよ)うも人一人見ず廃墟あとにす/矢内長吉



ろうそくを灯して災害ニュース聴く揺らぐ炎を両手(もろて)に庇ひて/佐藤繁



被災地に住めども我は被災せず避難所の前足早に過ぐ/小畑恵美子

仮設住宅の道隔てれば住宅街ガレージに庭にベランダがある/渋谷史恵

新築し仮設を去ると云う噂羨望の渦静かに廻る/島田啓三郎

→ほかの人との被害の程度の差による、ひそかな思いを詠んだ歌を三つ引いた。
渋谷さんや島田さんはよく見かける。この新聞歌壇の常連。



砂浜に波の描ける紋様は津波に逝きし人の便りや/内海おり子



やんだやんだ帰って家で暮らしたい動く左手で吾の頬打つ/武内文也

→「動く左手で」で右手が動かないことをあらわしていると見た。持てる力で精いっぱいうったえている。しかし「吾」にはどうすることもできない。
方言の初句。そういえば方言のある歌はとても少なかった。



映像にストレスあらば視るを止めよとテロップ流れ大津波寄す/伊東光江
→テレビで放送されるそのまんまなんだが、これもまた震災から出てきた異様なものの一つなのではないか。
珍しいテロップ。ストレスと名付けられたもの、予告されて押し寄せる津波。



津波より拾いし写真を伸ばせしか隣の葬儀のぼやけし遺影/島田啓三郎



防潮堤高くつづきて海みえぬ無人の駅にひとり降り立つ/薄井慈恵子




以上です。この本おわり。




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noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




角川「短歌」2018年9月号の荻原裕幸さんの歌壇時評の感想すこし
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2018年7月のオレの短歌とその余談
https://note.mu/mk7911/n/nb3e7945830c7

「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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