FC2ブログ

「未来」2018年7月号を読む  ~真夜中の火焔列車、ほか


「未来」2018年7月号。

そろそろやらないと二ヶ月おくれになってしまう。



ひとを待つあいだ見ていた駅まえの花壇にわすれられたスコップ/小林久美子
→わすれられたスコップを、自分のように見ていたんでしょうか。
なんか「ほんとに見てたっぽいな」と思って読んだ。「駅まえの」がじつは利いていて、これが駅で人を待っているのをあらわしているんじゃないか、と今かんがえた。



もうひとつの解き方があるというもっとうつくしいという解きかた/小林久美子



接吻のぷの丸だとか自慰のじの点々だとかを泥に埋めたし/佐藤羽美

→かわった目のつけどころだ。言ってることはなんとなくわかる。丸とか点が言葉の感じを変えてしまう。



悲鳴を上げながら過去へ過去へと倒れながら走ってゆく真夜中の火焔列車/青山みゆき
→57577じゃない作品ばかりの作者なんだが、ここではそれが内容にマッチしている。
すさまじいイメージだ。悲鳴とか、倒れながら走るというのは人間と重ね合わされているのか。エネルギッシュだが、過去になにを求めているのだろう。



ユーレイはいるんですか だしぬけにマツコ・デラックスは男に問へり/安川道子
→このように自分のタイミングでど真ん中へ切り込んでいけるのがマツコの魅力なのだろう。マツコもユーレイとかこわがるんだろうか。こわがるかも。



捨てられたような町のゴミ捨て場ここにもジャンプ縛られてあり/ゴウヒデキ
→ジャンプは日本全国で読まれている。見知らぬ土地でもジャンプはある。
縛られているところに注目しているのがいい。ジャンプという単語の意味を考え合わせてみるのもいいなあ。



貯水池に捨てた死体をもう一度引き上げてみたくなるような月/魚虎サチ
→なんと妖しい月だろう! そして、作中主体は過去に死体を捨てているのだ。これはドラマの予感。



やうやうに赤のうすれるさびしさよ蛸型遊具の蛸のあたまは/野田かおり
→「やうやうに」が枕草子みたいだし、あたまの赤さをさびしがるのは、鶴の頭をかなしんだ茂吉を思わせる。それでいてこれは現代の光景だ。



監視カメラつけよう誕生日おめでとう監視カメラつけよう/鼠宮ぽむ「微笑」
→これにちょっと似た歌、穂村さんにあるけどね。
A・Sは誰のイニシャルAsは砒素A・Sは誰のイニシャル/穂村弘

でもこっちはこっちでおもしろい。善意なのか悪意なのか、誰のための防犯なのか、おめでたいことが監視カメラにはさまれて薄気味わるくなっている。ある年齢になったら監視カメラの取り付けが義務づけられるとでもいうのか。



豚のことば牛のことばをおもいつつマッサージチェアにのびてゆく肉/佐藤真美



哭きゐる子笑ひゐる子に四月来ぬわれは漱石の「行人」読みて/千葉華


スタバなう 顔を上げたら店員がさっきとちがう人、五人とも/鷹山菜摘「さらばキャンパス」

→「スタバなう」の日常が、ふっと顔を上げると変化している。支障はないけど、がらりと変わっているのはしずかにこわい。



評のページからもいきましょう。
七首あるならば三首を読んでみておもしろくなければ次へいくようなやりかたで普段は読んでいる。それで見逃すおもしろい歌もあるが、そこを評のページは拾わせてくれる。



既視感がよぎる既視感。退院後のあけた引き出し夏の引き出し/みやざきひろ
→初句と二句でくりかえして、四句と結句でもくりかえしていて、こういう歌はなかなか見ない。
退院した夏に家の引き出しをあけたら既視感があった、ってところか。



拡大せる雀の貌のけわしさよわれら生物かく生きている/青雅



以上です。未来7月号おわり。


オレが「未来」に発表した歌はこちらにまとめています。
https://matome.naver.jp/m/odai/2145087691179204501



▼▼▼



【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。





2018年7月のオレの短歌とその余談
https://note.mu/mk7911/n/nb3e7945830c7

もっと賞の話がしたい!/オレの企み
https://note.mu/mk7911/n/nc2b1b8188836

「新人賞 連絡」
https://t.co/ZTB10Ogssw

「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
https://t.co/9LDZrsWmr0





などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。






スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR