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石原純『靉日』を読んだ



筑摩書房の現代日本文學大系94「現代歌集」をひとつずつ順番に読むシリーズ六回目。石原純『靉日』。



明治44年から大正10年までの作品とのこと。抄録。
歌が二行書きだったり三行書きだったりして、句読点がついている。それについて歌集の前書きに、つぎのように書いてある。

「短歌を短冊に書くものと思つてゐた時代には、すべての文章に句読点もつけず、濁音点さへうたなかつたこともあつたのです。今日になつてまでそれを固守して、一度読んでも続きぐあひが判らず二三度読みかへさなくてはならないやうにしておくのは、寧ろ迂であると私は思ひます」



歌を見る。



町はづれ家並(やなみ)ととのはず。
路のおもの凹(ひく)き窪みに
ぬかるみひかる。
/石原純『靉日』



城あとの山にひと懐(おも)ふつつましさ。
いま我がもちて町に降(お)りきし。
/石原純『靉日』



講壇に立ちて
もの虞(おそ)るるこころ湧けり。
おもてをあげてひとら聴きゐる。
/石原純『靉日』



毎日(まいにち)の雨量(うりやう)をしるす曲線の
漸(やや)にさがりて、
夏終(は)てにけり。
/石原純『靉日』

→これはいいなと思った。自然や人々の様子を見て季節の移り変わりを感じることはあるだろうけど、さがっていく曲線からこの結句がでてきたところが。



美(いつ)くしき
数式(すうしき)があまたならびたり。
その尊さになみだ滲みぬ。
/石原純『靉日』

→「美くしき」と言い「尊さ」と言い「なみだ滲みぬ」まで言う。歌としてはくどいところがあるけど、入れ込みようがあらわれている。

そういう歌をおもしろく読んでいると、自然の歌、旅行の歌になる。



牛乳をあたゝめて飲む
火鉢べに、
山の気しづかにながれいるかも。
/石原純『靉日』



汽車のなかの一区劃(しきり)なるわが室(へや)に、
徒(ただ)すわり居つつ、
ひろき野をゆく。
/石原純『靉日』




年譜によると、この歌集を出した大正11年にはまだアララギにいて、この2年後にアララギを去っている。それからはいくつもの雑誌を創刊し「新短歌」の活動をしている。

東北大学にいたんですね。原阿佐緒との関連で名前を聞く人だけど、今回はじめてまとまった量の歌を読んだ。この歌集おわり。



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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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