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新人賞受賞あれこれ【5】安永蕗子さんのこと

部屋を片付けていたら、短歌研究の2014年11月号が出てきたので、めくっていた。
松平盟子さんの連載「天窓からすべてを望めよ 安永蕗子の短歌と人生」が目にとまった。そこには、角川短歌賞を受賞した直後の安永蕗子のことが書かれていた。

安永蕗子っていう人は、みなさんご存じのとおり、角川短歌賞の最初の受賞者。
いまのオレの一番関心あることっていうのは、新人賞をとると歌人に何が起こるか、先人はその時期にどんなふうに歩みを進めたかということなんだけど、ちょうどオレの関心のあることが書かれていた。

授賞式が角川書店の応接間でおこなわれたことが書いてある。
授賞式が、応接間。
選考委員五人のうち二人の出席。ソファにすわっている写真がある。
写真の近藤芳美が若そうに見える。計算すると四十代半ば。いまの多くの短歌の新人賞の選考委員より若い。



受賞第一作のころの安永蕗子について、松平盟子さんは書いている。

歌人としての輝かしいスタートを切ったとき、それはすなわち新たな戦いの場が開かれたのだと彼女は肝に銘じたことだろう。なぜなら華々しい新人賞はそれにふさわしい成果を求められるからであり、多くの読者の眼を意識せざるを得ない立場に身を置くことになったからだ。中城ふみ子や寺山修司とも当然ながら比較されるだろう。九州の一無名者だった自分に当たる好奇のまなざしと、時に嫉視を、受け止めつつ納得させられるのかどうか。

あらためて、新人賞を受けるということがどういうことか念を押されるような文章だ。これを書いている松平さんも角川短歌賞の受賞者だけど、重なるところがあったのだろうか。

「九州の一無名者」の「九州」を「東北」とでもすればオレにも当てはまる。
「中城ふみ子や寺山修司とも当然ながら比較されるだろう」の「中城」「寺山」のところには川野さんでも睦月さんでもどの受賞者の名前をいれても、肩になにかめり込んでくるような気持ちになる。



このころに安永蕗子が所属誌に書いた文章が紹介されている。

歌ふことによつて魂が慰撫される歌であつてはならぬ。歌ふことによつて苦悩は更に深く哀切は更に哀切となつてゆくだらう。もともと詩歌は悲劇の様相を彫刻するものである

いまこういうことを書ける新人ってなかなかいないんじゃないだろうか。厳しい世界に身を置いている。爪の垢を煎じて飲みたいとはこのことだ。
当時昭和31年、いま平成30年。



以上です。んじゃまた。



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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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