『合歓』76号を読む  ~手品師の大きな耳、ほか


「合歓の会」の歌誌『合歓』76号を読む機会がありました。年に四回出ていて、平成四年創刊。
短歌研究の年鑑には「合歓」は「加藤克巳系」とある。80ページで60名ほどが参加。発行人は久々湊盈子さん。



カップ麺に極薄の具の混じるあり疣があるから蛸と思うが/中原弘『マグカップ』
→変わり果てた姿でカップ麺に入っている蛸を見ている歌。極薄になってもイボで判別されている。



内藤明さんのインタビューがある。

寛容か無節操かと考へてゐるうちわれはねむりたるらし/内藤明

久々湊さんは何人もの歌人にインタビューしていて、それがまとまった本も出ているということだ。



おしっこの敷布おしっこの敷き布団おしっこの毛布おしっこの父/浜名理香「どっちも笑え」
→招待作品。
介護の一連……というわけでもなく、いろんなことが詠まれている。前半でひとり暮らしの父を訪れている。
おしっこが付着すると何もかもが「おしっこの○○」になってしまう。



手品師の大きな耳を買い求め終日遊ぶ囁く風と/桑名知華子「シンプルな世界」
→マギー審司がやる「大きくなっちゃった!」だ。最近見てないな。あの耳、売ってるんだね。いわゆるパーティーグッズってやつだな。
「終日遊ぶ囁く風と」がつつましい。マギー審司はあの耳を、人をびっくりさせるような使い方をするが、そういうのではない。大きな耳なら風の音もよく聞こえそうだ。




神さま、とつぶやいたこと二度ありぬ 唇(くち)まで布団を持ちあげおもふ/米川千嘉子『吹雪の水族館』

冷房はむかし小滝のそよぐごといま鳥肌を立てて耐えをり/米川千嘉子『吹雪の水族館』

→歌集評から。そのほかにも『合歓』には歌集について書かれたページが多くある。




八本足順序不同に逃げ急ぐ釣られし大蛸甲板の上/渡辺貴栄「明治神宮」
→会員のなかではこの方の歌が一番よかった。ほかにもいい歌が多い。
「順序不同」がいい。



坂を下る君のからだが半分まで消えて巷の灯が点き初めぬ/渡辺タミエ「一汁ゼロ菜」



この本おわり。
連載があり、エッセイがあり、大きめの連作があり、題詠があり、いろんなページがある。
ほかの結社との交流がさかんな印象だ。インタビューもそうだし、招待作品もあるし、歌集評も丁寧だし、特別寄稿もある。

以上です。
んじゃまた。




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2017年4月に掲載された/発表した短歌のまとめ【22首】
https://note.mu/mk7911/n/n3afc09ed83de

2017年4月にあった出来事についてあれこれ言う
https://t.co/iWmOlpRjpS

帰ってきた汚染歌人
https://note.mu/mk7911/n/n3b3bdf5e932c

短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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