斎藤茂吉『白桃』を読んだ  ~するどき山の見ゆることあり、ほか


斎藤茂吉の歌集『白桃』を読んだ。
昭和八年、九年の歌が収録されている。



丸ビルにむかひてあゆむ朝の群衆(ぐんじゅう)を見るゆとりあり春日(はるび)になりぬ/斎藤茂吉『白桃』



この日ごろ日脚のびしとおもふさへ心にぞ沁む老に入るなり/斎藤茂吉『白桃』

→このころには「老」ということばが出てくるようになる。年をとると感動するポイントが変わるという経験ならあるけど、そこまでになるとは。



海にそひて汽車は走ればある時にするどき山の見ゆることあり/斎藤茂吉『白桃』
→たいらな海と、それに沿う汽車。そこへくる「するどき山」のコントラスト。



川上よりたぎち來りて川下(かはしも)に流るる見ればさびしきろかも/斎藤茂吉『白桃』



砂の中に蟲ひそむごとこのひと夜山中(やまなか)に來てわれは眠りぬ/斎藤茂吉『白桃』




M君は目前(もくぜん)にたつ山々を黒きかたまりに描きつつあり/斎藤茂吉『白桃』

→山は黒いかたまりじゃないが、そのようにうつしとられている。絵を描くというのは不思議な行為だと思う。



向うには雪ふぶきする墓地が見え葬禮ひとつ微かに行けり/斎藤茂吉『白桃』



犬いで來(き)人いで來(こ)しと思ふばかりに川の對岸に雉子(きじ)は打たれぬ/斎藤茂吉『白桃』



伊豆の海ほびこりたりし冬雲は片寄りにつつ夕映えにけり/斎藤茂吉『白桃』

→「片寄りにつつ」がいい。雲が動いていて時間が流れている。美しいと思う。



大股に歩ける人のうしろより吾歩みゐていや離れゆく/斎藤茂吉『白桃』




以上。
んじゃまた。


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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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