梶原さい子『ざらめ』を読む  ~窓が多すぎる、ほか


梶原さい子さんの第一歌集『ざらめ』を読みました。2006年3月。青磁社。



まづ仮設便所が建ちぬひろいひろい分譲ニュータウンの荒野に/梶原さい子『ざらめ』

印鑑をつくとき紙が皺寄れるほどのかすかな苛立ちである/梶原さい子『ざらめ』

戸締まりを終へて真昏き廊下ゆくああ学校には窓が多すぎる/梶原さい子『ざらめ』

→1首目。最初に建つのが仮設便所という発見はおもしろい。
3首目も発見だが、ただ見つけたのではなく、学校の戸締まりをした経験からきたものだろう。「ああ」にそれを感じる。



幻聴のごとく仔牛は後肢で立ちては崩れ崩れては立つ/梶原さい子『ざらめ』



病室の窓より父は見をるらむ空と山とを分かてる線を/梶原さい子『ざらめ』

雲がみな彼の世へ吸はれゆくやうな一点透視図法のゆふべ/梶原さい子『ざらめ』

→景色を線でとらえたり、一点透視図法でとらえたりしている。「一点透視図法」なんて、美術の授業で聞いた懐かしい言葉だ。景色が絵画になる。



車窓より見ゆる白肌(しらき)の校舎にもきつと手首を切る少女ゐる/梶原さい子『ざらめ』
→白肌と書いて「しらき」と読む言葉が目をひく。校舎について言っているのだが、少女にもかかっていく言葉だろう。



調律をせざるピアノの音に馴染みもうおそらくは恋ができない/梶原さい子『ざらめ』



亡き母のかほかもしれぬクレヨンでめろめろとただ丸描くこども/梶原さい子『ざらめ』

→「めろめろ」がいい。
ただの丸に見えても、描いてる子は何かのつもりで描いているということはありうる。



またけふもニュースは知らす五輪旗の中心は黒、黒の輪なるを/梶原さい子『ざらめ』
→初めてこの本を手にとりパラパラめくったときにこの歌が目に入ってきて、なんておもしろいんだと思った。
ニュースが知らせたいのは他のことだろうが、受けとる側はいろいろだ。中心が黒というのはなにか暗示的だ。




この本おわり。


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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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