「なんたる星」2017年2月号を読む  ~その後の川遊び、ほか


なんたる星2017年2月号。



「なんたる星」はこちらから読める。
http://p.booklog.jp/book/112996


ビーサンは流されてって その後の川遊びって感じだ、しごと/はだし「酪農」
→川遊びをしていて、うっかりビーチサンダルを流されてしまう。そのあとにもつづく川遊びが、まるで仕事のようだという。

オレも過去にあったことを思い出す。釣りしてて釣りざおを流されてしまって、気分が重ーーくなったことがある。

ビーチサンダルの略され方「ビーサン」はオレはたぶん口に出したことないな。字で見ることもあまりないが、あまりなくてもわかる言葉だ。
ビーサンは確かに仕事っぽくない履き物だ。略したからさらに仕事っぽくない。
ビーサンが無いと、遊んでいてもしごとのようになる。遊びとしごとの境目にビーサンは流れている。



お守りで押さえたカップヌードルのふたが開いてる あったかそうに/はだし「酪農」
→見たことがある歌だ。ツイッターで見たのだったか。そのときもいいなと思った。

カップヌードルに湯を注いだら、ふたを閉めて待つ。ふたは普通には閉まらないから上にものを置いたりする。日清のカップヌードルには専用のシールがついているが、オレは好まない。

たまたまそばにあったのか、お守りをのせたと。でも押さえ方としては不十分だったのか、ふたは空いていた。あったかそうなのは、あたためられたお守りか。

悪霊がとりついているとかで、何かにおふだを貼りつけることがある。それが剥がれると、とても不吉だ。立て続けに交通事故とか起こる。キョンシーならば動き出す。そんなふうに、神聖な力でふさいだものがふさぎきれていないのはとても恐ろしいことのように思える。
しかしそれを打ち消すように「あったかそうに」がある。ほのぼのしている。お守りが幸せそうですらある。角度によって、恐ろしくなったりほのぼのしたりする。



いっせーのせーので指を上げあって知らない人のその指も指/迂回「起立斉唱知人サンバ」
→あの遊びは「指スマ」と呼ぶのがもっとも通りがいいらしいんだが、スマップの前にもあったし、オレはあんまり納得していない。世の中には、これといった決まった名前の無いものがある。それぞれで名付けて、どれも定着しない。
だから「いっせーので決めようぜ」と言って親指を出してみせたりする。

時々は、よく知らないやつとそれをやることもある。友達の友達とかと。
それでも「いっせーの」すれば指は勢いよくビーンと上がるわけで、そんな知らない人の指に違和感をおぼえたという、そういう歌と読んだ。だとすればその感覚はわかるなと。



宇宙塵となった身体できみの乗るシャトルの窓を叩きに行くよ/スコヲプ「宇宙ガラス」
→ぐるぐるまわる文字で連作が編まれている。
スマホから読んだが、読もうとしてスマホを回していくのは面倒だがちょっとおもしろい体験だった。これはその最後の歌。
とってもロマンチックな歌にも見えるし、執念深さがやばい歌にも見える。
さっきのお守りの歌もそうだけど、やばく見えるしやばくないようにも見える歌をおもしろく思う。



中島みゆきのアルバム「生きていてもいいですか」
7曲目の「エレーン」に
行く先もなしにおまえがいつまでも
灯りの暖かに点ったにぎやかな窓を
ひとつずつ のぞいてる

とある。
8曲目「異国」には
百億粒の灰になってもあたし
帰り仕度をしつづける

とある。


ものは言い方で、「きみ」とか「シャトル」とか「宇宙」とか言えばなんだかいい感じにもなる。
粉々になっても意志は死なず、宇宙までいってもついてくるとは、すごい愛のようでもあるし、「生きていてもいいですか」的な執念・怨念でもある。そのどちらなのかは「きみ」次第だ。

このぐるぐるは、ブラックホールにでも飲まれていくのか。幸せな宇宙旅行ではなさそうだ。



企画は「戦評」
歌合の一種ですね。2ターンあるのと、時間が決まっているのと、その場にいない人の歌をとりあげるところが特徴か。判者が入れ替わるのも特徴かな。

空気がおもしろかった。相づちに独特なものがあって。これは「なんたる星」ならではのものでしょう。待ち時間がおもしろい。嫌味にならない程度のほどほどなおもしろさの変な言葉を放り込んでくるセンスがうらやましい。



以上です。









成人病予防健診に行って、最悪だった話|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n825cec319cde

2017年2月の工藤吉生の短歌すべて見せます|mk7911|note(ノート)

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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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