「現代短歌」2017年2月号を読む  ~屁のような歌を作りて、ほか


「現代短歌」2017年2月号。


伊舎堂仁さんの作品についてはすでに記事にした。

伊舎堂仁「奥歯」を読む  ~工藤吉生さん!な伊舎堂、ほか : ▼存在しない何かへの憧れ http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52183579.html
それ以外のところをやっていく。


よく寝ても寝なくても眠いこの日々を飛行機しずかに光りつつゆく/永田紅
→ねむいねむいという歌が永田和宏さんにもあったと思い出したりしながら。
聞こえないほど遠くに飛んでいる飛行機がなんかいいなと思って読んだ。よく読むと「ね」を重ねたりIの音を重ねたりしてある。ひ、ひ、し、ひ、はひそやかさを強めている。
ねむいねむい廊下がねむい風がねむい ねむいねむいと肺がつぶやく/永田和宏


ここよりは立入を禁ず 複製のシャガールを飾ってわが部屋と呼ぶ/新城貞夫「ひまつぶし」


この国はいづこへ向かへどいづれ海 雑踏のなかふいに恐るる/三浦柳「風に吹かれて」



特集は沖縄の歌。遠くてわからない。方言も植物も基地関係も。前提になっていることもよく知らないので、そこの確認からはじまる。確認するとやるせない感じになってくる。



改札を圧縮されていでし人らしばらく拘束の縦列たもつ/田中子之吉『転生』



日常を楽しむといへどさしあたり夕餉(ゆふげ)に食ひたきもの見つからず/長田邦雄「生日前夜」



メドレーを吹き終えしのちサンタ帽に少し手をやるフルート奏者/鯨井可菜子「胸郭の螺子」

→覚えがある。そういう演奏会に参加したことがある。仮装みたいなことやる演奏会って、ある。みんなが知ってそうな曲が次々出てくるメドレーをやったり。
格好は変でも演奏は真剣で、サンタとしてよりは奏者として帽子に手をやっている。



屁のような歌を作りて高台を降りて来たりぬわが家を見つつ/大島史洋「胡桃の実」
→自分の歌をつまらん、ダメだ、と思うことはあっても、ここまでは言えない。たいしたものだ。突き抜けている。高いところから景色を見ると、歌でもひとつ、という気持ちになったりする。
屁みたいな質の歌でもできあがると屁をしたくらいの気持ちよさはある、と今おもいついたので書いてみたが、これもまた屁みたいな文だ。



木枯が子を生むならばほほゑみとわれは名づけむ女男(めを)のいづれも/水原紫苑「初雪」
→命名とは、願いみたいなものだ。木枯らしに微笑みがありますように、という心か。



死をもちて死の恐怖より解かれたるその厳粛に寒き首垂る/谷岡亜紀「海岸の秋」



福士りかさんの「もう一人の師」に、村上善男さんという東北の美術家が、岡本太郎から上京を止められたエピソードが書いてあった。
「――お前は、そこで闘え!」の一言が村上氏のその後を決めた。

そういうのもあるんだな。つまり、説明も何もない一言が決定的な力をもつことと、地域で闘うこと。

この村上さんという人も、漢字はちがうけどオレと同じヨシオだからさ。
岡本さんや村上さんは東北に「強烈で豊かなエネルギー」を感じたからそれを言ったり実行できるわけで、大事なのは中央か地方か、AかBかではなく、エネルギーだろう。



以上、現代短歌二月号でした。おそまつさま。
あと、この号の読者歌壇で特選と秀作に選んでいただいた。ありがとうございます。






2017年1月の工藤吉生の短歌、すべて見せます|mk7911|note(ノート)
https://t.co/QINupta2ve
有料マガジン(500円)を更新しました。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR