「なんたる星」2016年12月号を読む  ~あだ名にはならない位置、ほか

「なんたる星」2016年12月号。ヤンキー号。



あだ名にはならない位置に三つめの目ができてから行く同窓会/迂回「駅で思う」
→同窓会が出てくるけど、学生は身体的特徴からあだ名をつけがちだ。目立つ場所ならあだ名になりやすい。三つめの目は目立たぬ位置についたのか。それとも、シャレにならないような、引いちゃうような場所なのか。どこだろうなあ。
でもほんとにあだ名にならなかったのは、それが「目」だったからかもしれない。目って大人になってから「できる」ものなのか。こわい。



エアホッケーあるでしょ 打ち返してくれる人がいないとああなっちゃうよ/はだし「いま宗教きたら」
→相手のいないエアホッケーは、簡単に得点できてしまい、全く一方的な試合になる。
「あるでしょ」は例え話としてエアホッケーを出してきたと読める(離れた場所にエアホッケーの台があってそれを指してるようにも見える)。例え話だとすると、ひどく一方的な何かがそこで起こっている。



先輩に借りた漫画の先輩は後輩にむちゃくちゃ好かれてた/加賀田優子「友達がブルーシートにくるまれた可能性とその春のからあげ」
→二回「先輩」が出てくる。最初の先輩は自分の先輩で、二番目の先輩は漫画のキャラクターだ。でもあえて同じ言い方をすることによって、漫画の中と外が曖昧になっている。

タイトルである
友達がブルーシートにくるまれた可能性とその春のからあげ
はその次の歌。連作のタイトルを短歌にした場合に、タイトルそのままの短歌が連作に出てくるケースは初めて見た。ありそうだけどね。でも初めて見た。

一字あけも記号もない場合に、短歌を575+77みたいにオレは読みがちなんだけど、そうした場合は「友達がブルーシートにくるまれた」で切れるわけで、相当なショックがくる。「可能性」とくるからショックが緩和される。そして「からあげ」でじわっとした気持ち悪さがよみがえる。

「グモる」って言葉がしばらく前にあったんだけど、電車とかで人身事故があると遺体にブルーシートがかけられる。
遺体の画像が「オグリッシュ」とかそういうサイトにアップされたんだが、からあげみたいに体がちぎれていたりする。



読み物のなかでは恋をしているさんの「バイク」が面白かった。貼り紙のくだりがよかった。指名手配犯の写真のなかに鹿の写真があるからそれを警官に指摘したらバイクの写真に変わったというところ。
「神アプリじゃー」もすごい。
罵倒としての「宇宙のしきたり」も良かったな。

「神アプリ」に関しては、間違ってないんじゃないかとすら思った。
言葉の意味は時間のなかで変化してゆくけど、ババアのなかでものすごい時間が経過したために「神アプリ」が「信頼できるもの、好きなもの」みたいな意味に転じたんじゃないかと。


「走り去る猿ごきげん町、とぅもろーねばーのーずです」という文言を書いた布を巻きつけたバイクに乗っているので、あだ名がバイクになっているババア(もうその時点でキル)が初めて友人の結婚式に招待されるというので近所に住んでいる高校生の僕にそのことを相談してきた。/恋をしている「バイク」
というのが出だしのところだ。

「走り去る猿ごきげん町、とぅもろーねばーのーずです」
意味はともかくやたら調子がいいフレーズだ。ラジオのCMみたいだ。ラジオのCMって、声の良さや滑舌の良さや、そして語呂の良さで勝負してくる。




そんな感じです。
こちらから読めます。
http://p.booklog.jp/book/111926


んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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