文屋亮『月は はるかな都』を読む  ~完・全・な円、ほか


文屋亮さんの歌集『月は はるかな都』。を読みました。
「月は」と「はるかな都」の間に改行か半角空きがあります。
2006年10月。本阿弥書店。玲瓏の方です。



吾(あ)が思ふ君と君が思ふ吾(われ)の微差義母のカレーはやや辛くあり/文屋亮『月は はるかな都』
→全体的に漢字が多くてルビも多い歌集です。
ここでは「吾」を二通りに読ませているのが効果的です。見かけが同じでも中身が違うというわけです。微差はカレーの味にまであらわれています。



怖いのはあなたの心の虹の輪が完・全・な円を描(か)かうとすること/文屋亮『月は はるかな都』
→「・」のある「完・全・な」になんといっても目がいきます。ここに完全さのはらむ恐怖感がありそうです。
虹って半円で見えて良い印象をもたらしますね。ありえない完全さを求めているのかもしれません。



いつまでも自信を持ちえぬ我なるに夕陽に影がぬつと起ちあがれり/文屋亮『月は はるかな都』



新しき季節の軽さよ自転車のタイヤ回して逢ひにゆく恋/文屋亮『月は はるかな都』

→自転車をこいでいくのを「タイヤ回して」としたのが、(地味なようだけど)いいなと思いました。季節の軽さとは、心の軽さでもありペダルに感じる軽さでもあるのでしょう。



北四番丁でしばしば降りきあなたしか見えざる駅の名前でありき

ここよりはひとつの流れ七北田川(ななきたがは)に散らばる光もまとまりてゆく
/文屋亮『月は はるかな都』

→北四番丁とか七北田川とか、馴染みのある地名がでてくるとうれしくなります。このあたりは熱い恋の歌がつづいています。



丸つけた歌は以上です。

何度も「メール」が出てきて、数えたら11首ありました。この頃には新しかったのでしょう。今「LINE」が11回でてくる歌集を読んだら、やはり多いと思うことでしょう。



終わります。んじゃまた。






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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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