保坂和志『考える練習』メモ


保坂和志さんの『考える練習』を読んだ。初めて保坂和志さんを読んだ。
対談の、といってもほとんどが保坂さんがしゃべるような形の本。さまざまなことをおしえてくれる。


おもしろくて300ページを一日で読んだ。この人の本をもっと読んでみたい。

創作したものが評価される・されないじゃなくて、つくってる最中の「自分の中になにかが生まれてくる感じ」を信じようという話。これが読めてよかった。

『なんだかんだで最後に頼れるのは、つくっている最中の「自分の中に何かが生まれてくる感じ」しかない。30歳過ぎてだんだん苦しくなってきたっていう人たちも、それがあるならやるしかない。』

保坂さんが気になって、動画をいくつか見たりもした。








以下、抜粋。数字はページ数。


25
「わかった」って断定的に言うことはすごく浅薄で幼稚なことなんだっていう社会的な了解を取りつけなきゃいけないと思うんだけど、世界全体の流れからいえばそんな考え方はどんどんどんどん少数意見になりつつある。でも、「少数意見になりつつあるなら、やめよう」と思うのは全然間違いで、真理は多数決にはないからね。

91
本当の喜びは、人から追いかけられるより自分が追いかけるほうにこそある。

96
ぼく自身、デビュー作の『プレーンソング』を書きだして、どこかの場面ですごく軌道に乗ったときには、これは評価されなくても関係ないと思った。「自分の中で何かが生まれた」と感じたんだ。

98
たとえば自分が尊敬する人がいるなら、作品をその人に送るとか働きかけるとか、そういうことをすればいい。(略)その人にさえ「いい」とか「このまま続けろ」とかって言ってもらえれば、その人はきっと一生続けていける。

114
将棋指しは勝ちたくて指してるわけじゃないんだよね。(略)その奥義を極めたいから強くなりたい。強くならなければ、奥深いことはわからない。

121
小島信夫を読んでない人の言うことってあんまり迫力ないんだよね。

126
「俺にわかるように言え」って言う人たちは、とにかくひとつの答えだけ言えって言っている。だけど文学は、「答えはない」ってことを言っている。

164
リアルだから引き込まれるんじゃなくて、引き込まれることにリアリティがあるっていうこと。いま見ているそのときに説明はつかなくても、そこにはリアルがあるんだよ。

187
観てて一緒に体を動かしたくなるとか、「今度生まれてきたら絶対ダンサーになる」とか思うことがダンスに出会うことで、言葉で理解して整理しても、面白くないというか、そうすることがすでにダンスを殺してるよね。

230
テクニックはできてしまう。問題はその先にある。みんな小説家のことを「言葉のプロ」って言うけどそれは誤解で、小説家は「言葉につまずくプロ」。

243
セザンヌが体を縄で木にくくりつけて描いたみたいに、「こんなことして、誰がわかるんだよ」ってことまでしたからこそわかる人がいる。そういう「誰がわかるんだ」ってことまでしないと、やっぱり伝わらないんだよ。

245
書く人、つくる人が、困難を掻き分けるようにして進んでいく。試行錯誤する。できたものにその試行錯誤はそのままは出てこないけど、読者はその試行錯誤までわかる。読者の像を考えるのであれば、そこで「わかる」って思わなきゃそれは失礼なわけ。

280
一字一句聞くっていうのは意味に変換しないってことだよ。
(略)わかりやすいのは恋愛のときの、自分が愛している相手から聞く言葉。人は意味に変換して記憶する癖があるから、一回は意味にしてその言葉を取るんだけど、でも恋愛している状態だと、やっぱりまた最初の言葉に戻る。
一字一句残る言葉っていうのは、それだけできっと強いんだよ。


289
ツルッと書けば2日で書けるところを気が済むまでやって2週間かかるっていうのは、それは小説家に与えられている権利であると同時に義務でもある。使命でもある。こういう仕事をしている人間が時間を無駄に使わなけりゃ、誰が時間を無駄に使うんだよって。


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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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