「うたつかい」2016年秋号を読む  ~わたしたち菌糸類、ほか


うたつかい 2016秋号。



すこしずつ丸みのちがう「あ」の文字が並んでふいに愛しい色紙/逢「一学期をふりかえって」
→色紙に書かれる「あ」といったら「ありがとう」の「あ」かなあ。そういう想像の余地を残しな表現にそそられます。みんなそれぞれちがうありがとうの気持ちをもっていて、色紙にそれが集まっている。
「ふいに」「愛しい」は言い過ぎの感もありますが、「丸み」に注目したのがよかったです。



真夜中に帰ればぼくのためだけにしづしづまはる唐揚げ弁当/有村桔梗「食」




やはらかいくぼみを持てる春の石恋をしてゐる石だときみは/太田宣子「石をあつめる」




薄い毛布の頼りないこと飛行機の四方すべてが水平線で/田中ましろ「DL278」

→空の旅の一連。海の広さと心細さ。そういえば毛布ありますね。毛布と海の広さを頭の中で比較していると、いよいよ不安になってきます。



どこへゆくにも行き止まり 石像を動かしたひと戻してください/谷じゃこ「うらがえし」
→ゲームっぽい歌につい反応します。石像を動かして道をひらくことがRPGでは時々あります。
この勇者はそのへんの町やオフィスを攻略していったのですね。



むかしむかしあるところにもいただろう「そうだそうだ」というだけの役/西村湯呑「むかしむかしパート2」
→昔も今もいて、あるところにも別のところにもいる。決しておはなしの主役になることのないその他大勢の人物にスポットライトを当てた歌です。



青林檎なんて遥かな天体を見上げるわたしたち菌糸類/藤本玲未「鉱石」
→うんと小さい菌糸類からすれば小さい青林檎が天体であると。そうすると地球やそのほか天体を青林檎程度に見ている巨大な生き物のことが思われます。
「わたしたち菌糸類」がとてもいいんですね。菌糸類の立場から詠んでいるとも読めますし、わたしたちはある意味で菌糸類のようなものだという比喩にも読めてきます。いやもっと言うと「わたしたち」の「たち」のなかに読者のオレも含まれるように感じられ、引き込まれるのです。







「牛さんの短歌なう」はツイキャスを取り上げています。短歌のツイキャスを話題にした文章をはじめて紙で読みました。まさに「なう」、今を伝えています。





この本おわり。
んじゃまた。






神明の巨眼|mk7911|note(ノート)
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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