川柳「杜人」250号・251号を読む  ~てっぺんにいちご、ほか

川柳「杜人」250号と251号を読みました。


川柳の雑誌は「柳誌」というそうですが、これは宮城県の柳誌であります。

この本を扱うのは三回目。オレのブログの読者の方に川柳「杜人」の方がいたのをきっかけに読むようになりました。



「杜人」250号


250号ということで記念号になっています。
杜人は「杜の都の川柳誌」というキャッチフレーズで昭和22年から続いているのだそうです。普段は30ページほどですが記念号なので60ページほどあります。

ここからちょっと引きます。


猫捨てにゆく踏切をいくつ越す/森中恵美子



ゴム草履が流れ着いたらもう無敵/樋口由紀子

→どんな状況なんでしょうね。流れ着くってことは水辺ですね。でもゴム草履って流れてくるものでしょうか。流れてきたとして、それを利用できるのでしょうか。どう利用したらゴム草履で無敵になれるのか。
オレの知ってるどんな人ともどんな場面とも異なる、未知の世界です。この割りきれなさがいいんです。



首がすこうし前に出ている写真です/佐藤みさ子「生えている」
→証明写真かなあと想像します。「すこうし」の「う」がたまらない。



お母さんはピクルスになりいい感じ

お父さんが干物になった物語/広瀬ちえみ「群生地」

→よくわからないけど似合いの夫婦のような気がします。

広瀬ちえみさんはシリーズ「セレクション柳人」で作品を読むことができます。「セレクション歌人」の川柳版です。



それではと雨の雫になっている/柴田美都








「杜人」251号


朝焼けが言うすぐ帰れもう帰れ/佐藤みさ子「なぞなぞの国」



海底にある三月の予定表/都築裕孝「予定」

→一連に墓の句もあり、震災に関係した句なのだと読みました。



八・一五だんだんずれる鼻の位置/加藤久子「水の家」
→終戦の日。鼻は顔の中心にあります。平和の中心にあるものが動いて歪んできているということかと読みました。



てっぺんにいちごのせればそれがゆめ/広瀬ちえみ「沼の顔」
→イチゴの乗ったケーキには、オレも夢を感じます。
ただしケーキだとは言ってません。それをのせることでものが「ゆめ」と化す「いちご」とは一体なんなのだろう。深いものを予感します。
ひらがな表記も夢を思わせます。



描きかけの崖でいきなり靴を脱ぐ/中川東子
→絵が動き出す楽しい句のようでもあり、人が死に急ぐあやうい句にも見えます。それがダブって見えて面白かったです。



戦争と地震のどちらかに○を/大友逸星
→どんなアンケートなのか、書類なのか。質問を想像するおもしろさや怖さがあります。

川柳って書かれてることが少なくて、ほんとにどうにでも読めそうな句がありますね。正解も不正解もなさそう。



以上です。







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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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