たえなかすず・嶋田さくらこ『SUVACO』を読む  ~雨みたいに、幽霊みたいに、ほか


「SUVACO」を読みます。


この本は嶋田さくらこさんとたえなかすずさんが中心となってつくられた記念誌です。ゲストが参加し、募集もあり、さまざまな内容が含まれています。

さくらこさんといえば「うたつかい」です。この本もさまざまなところが「うたつかい」に似ているんですが、違うところもあり、その距離感がおもしろいと思いました。

カラーの表紙、もくじがあるところは違うんですが、最初の題詠のページの感じが似ています。投稿している顔ぶれも近いものがあります。

題詠は募集があったようです。オレは参加していませんが募集ツイートは見かけたような気がします。
「相聞連作」というのはうたつかいの「恋歌」を思わせます。豪華版ですね。
「たんきっしゅでいず」が復活しています。はじめのころの「うたつかい」ではおなじみのコーナーでしたね。これも豪華版という感じです。

オレは「恋歌」をいつも飛ばして読んでいて、「たんきっしゅでいず」は最後まで読めたことがないんですが、これの題詠に応募しなかったのはそのへんが関係しています。




玉木宏玉木宏ときてリーチ! しかし揃わず玉山鉄二/谷じゃこ
→発想もおもしろいけどテンポがいい。「しかし揃わず」が良いですね。
玉山鉄二って知らなかったからググったりしました。イケメンばかりなので、はずれても悔しさは半分。


あなたまたダーしたでしょうダーをしたうえにンマンマするつもりでしょう/御糸さち
→その家庭の言葉ってありますよね。たとえば座ることを「ジャンする」って言う家庭と言わない家庭があります。
「ダー」も「ンマンマ」もオレはアレのことだという確信は持てないんだけど、これで二人は通じあっているんだなーとおもえます。


酔うたまま眠りしひとの頬を舐め麒麟はラベルへと戻りたり/沼尻つた子
→あのビールのデザインの麒麟は妙な存在感があって、こういうことするかもしれないと思わされます。


題詠はここまで。


雨みたいに、幽霊みたいに泣く人がもやしを洗う透きとおる手で/中家菜津子「雨ばら物語」
→しめっぽいものばかり出てくる歌。「みたいに」を二つ重ねると効果がでますね。雨みたいでなおかつ幽霊みたいでもある泣き方ということで、想像力を刺激されます。


間違えて乗った電車の窓からもホームセンターかがやいている/嶋田さくらこ「髪に花を」
→ああ素晴らしいなあ。
間違えることで、自分の行動範囲の外へ出たわけです。行くはずない時に行くはずないところへ行った。そこにも人々の暮らしがあり光がある。踏み外した世界のリアル、とでも言ったらいいのか。


きのう出した手紙のことを真夜中のメールに書いて、遠いあなただ/嶋田さくらこ「髪に花を」
→出した手紙のことを、メールにも書いている。メールしたのが真夜中であるところに味がある。より早く聞いてもらいたくなったのだろう。
行動がちぐはぐなようで、しかし伝えたいというところでは一貫している。伝えたさ、関わりたさがせまってくる歌。




おわります。
んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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