角川短歌賞で予選通過しましたよ


いやいやいやいやいや。
角川短歌賞ですよ。



順番に話す。


仕事はたまたま休みだった。朝からずっと角川のことを考えていた。風呂に入って身を清めてから9時50分に家を出た。
10時ちょいすぎに本屋に入った。

まだ角川「短歌」10月号があった。
がっかりするよ。なにがヒューモアだよ。オレがほしいのは11月号だ。
なんてこった。ぼうぜんとした。

うろうろしていたら、店員がこれからならべるらしい本を乗せたラックに11月号があった!
店員の男性はよそ見しながらおしゃべりしてチンタラやっていた。おいおい。
男性がよそ見している間に11月号をラックから取って立ち読みした。


この、新人賞発表号で自分の名前を探すときというのは、何回経験してもドキドキするものだ。おそるおそる、しかし急いでめくる。

そしたら! 
候補者一覧にオレの名前があった。○がひとつついていた。

わーっ。

ああもう、それだけでかなりうれしい。
2012、2013、2014、2015、ずっと角川では予選落ちだったのだ。合計200首をここへ沈めてきたオレだ。
新人賞ぜんぶ合わせれば700首くらい投じてきた。
20回近く新人賞に応募してきて、一昨年に一度短歌研究で候補になった以外はことごとく予選落ちしてきたのだ。編集部が予選するタイプの新人賞ではいままで全滅、予選通過率0%だった。

おお、ちょっと報われた気分。



さっそく本を買って、外へ出て座って、お知らせアカウントからツイートした。

本日発売の角川「短歌」11月号の角川短歌賞ですが、はじめてこの賞で予選を通過しました。そして東直子さんに○をいただきました。励みになる貴重な一票です。ありがとうございました。

なんと謙虚なツイート。幸せなときのオレは謙虚なのだ。


と、しみじみ本をながめていたら、オレの歌も選考座談会で議論されていた。びっくりした。
今まで言われたことないようなことを言われていた。これは時間をかけて考えていくことだ。

2014年の短歌研究新人賞候補のときにも経験したけど、こういうのはありがたいけど同時に重苦しいものだ。大きな宿題をいただいた。
2014年にはうれしさの割合がかなり高くて、喜び70、くやしさ10、重圧20くらいだったが、今回は重圧も大きい。
うれしいけど、作品は50首連作が14首抜粋されてバラバラに載っている。こういうのは「作品を発表した」とは言えないでしょう。とてもゴールにはなりえない。達成とは言いがたい。喜びは40、くやしさ20、重圧40。合計すると不満のほうが高い。
オレの歌についての座談は98~99ページで、ちょうど見開きになっている。そこばかり見ていた。そしたら肩がこった。まだこっている。


選考座談会では職業についての話が多かったな。短歌のテレビ番組に出ているタレントさんも予選に残った。おもしろいものが読めるなら歓迎だ。

そんな華やかな場でオレは「負け犬的」とか言われていて、あらためて自分の負け犬ぶりを思った。自分でなんとなくはわかってても人からは言われたことのないことというのがあり、それを言われる数少ない機会がこういう場所にはある。







辻井さんとか清水さんとか竹内さんとか、まだここに応募してくるんだな。もっと先にいる人かと思った。
歌集を出すと新人賞から遠ざかることが多い。歌集を出したら新人賞に出してはいけない、という規定はないが、なんとなくそうなっていて、そうなっていないのを見ると「あれ?」ってなる。
そのへんはうやむやで、オレにそれ以上言えることはない。オレは心のなかで「あれ?」と言うだけだ。







オレも50首載せたかったなあ。そんな量を一度に載せたことなんかないよ。
「佳作」が遠い。「佳作」がうらやましい。

ところで「佳作」の意味が短歌研究新人賞とはちがうな。


▼短歌研究新人賞の場合
予選通過(全体の8割は通過する) 2首掲載
→佳作(50作くらい) 5首掲載
→最終選考通過(10~15程度?) 10首掲載
→候補作(5~10程度?) 13首+α掲載
→次席(0~2) 30首掲載
→受賞(0~2) 30首掲載

って感じか。年によって違うけど。
オレが経験あるのは「候補作」。13首+5首掲載された。
+αっていうのは、選考座談会でだけ引用される歌もあるということ。


▼角川短歌賞の場合
予選通過(30前後?) 0首掲載
→予選通過で○あり(15前後?) 0首+α掲載
→佳作(5前後?) 50首掲載
→次席(0~2) 50首掲載
→受賞(0~2) 50首掲載

「予選通過」といっても、タイトルと作者名が小さく出るだけのやつと、○があって座談会で言及されるやつがある。どちらも同じ「予選通過」という名称なのはちょっとアレだな。○がある場合は「候補作」とか呼んで区別されてもいいのかも。

短歌研究の「予選通過」は全体の8割を超えるからショボいが、角川の「予選通過」は全体の数%だから狭き門だ。
短歌研究の「佳作」は数十人いるが、角川の「佳作」は数人だ。5首掲載と50首掲載なのも、えらくちがう。


短歌研究新人賞みたいな、ほとんどの応募者の作品が少しずつ載る新人賞は特殊で、「歌壇賞」もオレの知ってる「塔」とかの結社賞も後者の角川短歌賞に近いしぼり方をする。
つまり、20作とか30作程度にまずしぼる。そこから漏れると「さようなら 残念でした またどうぞ」だ。全部掲載されるかそれとも掲載されないかがハッキリしている。

オレは今回いいところまではいったが、掲載されない側という結果だ。あれを掲載というなら掲載されたとも言えるが。でも、タイトル「ピンクの壁」を含む歌も載っていないんだぞ。







ああ、2014年の短歌研究もそうだったが、掲載されぬ36首をどうしようか。この50首連作をどうしようか。通して読んでみると自分ではおもしろくて、なんとかしたくなる。


2014年夏に短歌研究新人賞候補になった「仙台に雪が降る」30首は、2015年二月に印刷した「工藤吉生短歌集」に完全版30首を載せた。発表まで半年あけたわけだ。
有料マガジンには今年五月に載せた。すなわちネット公開まで1年9ヶ月かけたわけだ。

第57回短歌研究新人賞候補作「仙台に雪が降る」全30首 https://note.mu/mk7911/n/n58e5f4337568
500円ですべて読めるnoteのマガジン。


今回はどうしよう。何かの機会にあたためておこう。すくなくとも簡単に無料で公開したりはしない。
「このツイートが20いいねされたら有料マガジンで公開します。100いいねされたらブログで無料公開します」
なんてのを考えたが、考えただけだ。人を使って試すようなことはしない。自分で決めることだ。






どうでもいいけど、25年後とか30年後の新人賞は誰が審査するんだろうって考えてたよ。妄想の遊戯だけども。治郎さんも穂村さんも亡くなってるかもしれないと思うと、歌壇がえらくさびしく感じる。

考えの発端は「選考委員が応募者の職業を知りたがるけれども、たとえば斉藤斎藤さんが選考委員でもそういうことを求めてくるだろうか」ってところからだった。



オレが妄想した2040年の新人賞選考委員

というのを書こうかと思ったが、いやいや、ここには書かないよ。サブのブログに書くから、物好きな人が探してください。



いろいろ書いたけど、あなたの知りたいことをオレはちゃんと書いたんでしょうか。


んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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