「短歌雑誌ネガティヴ-17號」を読む  ~手袋とトング、ほか


短歌雑誌ネガティヴ -17號。


この本は特殊なところがあってなかなか紹介しにくい本です。以前-13號についてはツイートしてブログにもまとめましたが、-14、-15、-16號についてはそれを見送りました。今回はたまたま気が向いたのでやってみます。


『短歌雑誌ネガティヴ-13號』を読む : ▼存在しない何かへの憧れ
https://t.co/oMYbBN13BA
2013年4月の記事。

三年半ぶりにとりあげる本なので、希少な本でもありますし、どんな本なのかについて、ちょっとはじめに触れておきましょう。

これは山本左足さんとたきおと(瀧音幸司)さんなどが中心となって作っている本であります。ページ数がふってありませんが、数えたら42ページくらいありました。

特殊な点があると言いましたが、その点について。
短歌は無記名の状態で掲載されます。採点を募集し、高得点を得た歌のみがその次の號で作者名を明かされるという仕組みになっています。「誌上歌会」ってやつですね。
、歌に対してコメントがたくさん寄せられます。コメントはすべて無記名。




はじめのほうのページの、無記名で短歌が載っているところについては今は触れません。

「前号の高得点歌~」というところから、オレが票を入れた歌や、いれなかったけど今見るとおもしろい歌についてちょっと書きます。



その町のふくわらいでは手袋とトングが用意されていました/実山咲千花
→これが前號、-16號の最高得点歌であります。オレはこの歌に◎(二点)を入れています。
「手袋やトングは目や口を直接さわらないための道具と考えられます。潔癖なのかなと思いましたが、もしかして……ほんものの目や口をつまんでいるのかもしれませんね。怖い。」
とコメントしました。

https://twitter.com/mk7911/status/583270852982022144
作者が明かされてみますと、実山さんのアイコンこそがふくわらいに見えてきます。
ふくわらい、手袋、トング、というところに意識が集中したコメントをしたんですが、「その町の」とか「用意されていました」にも味があります。どんな町だろう、この町のふくわらいにはどんな意味があるのだろう。「福笑い」と漢字にすればおめでたいのですが、そうされてはいません。おめでたさの拒否です。



電球を交換してもたましひが切れてゐるのでひかりませんよ/有村桔梗
→○(一点)を入れた歌です。「電球のことですが、人間のことにも思えて深みがあります。」とかんたんにコメントしました。
今は電球にかさねられた人間のほうよりも、人間にかさねられた電球のほうを感じます。機械が作動しないとき、電池切れ・バッテリー切れなのかと思って取り替えてみるんですが、
取り替えても動かないときに「ああ、本体が壊れたんだな」と気がつくのです。そんな一瞬の気持ちを思いだしました。その「本体」がここでいう「たましひ」なのかなと。



蒟蒻のねじれの奥に続いてる選ばなかったいくつかの道/姉野もね
→選ばなかったしコメントもしなかった歌ですが、今みると良い歌と思います。「メビウスの輪みたい」という誰かのコメントにうなづきます。
ねじれた蒟蒻が身近なアイテムなのが良いと思います。選ばなかった道に、手が届きそうで。



後悔の書き順パラパラ漫画にて教えてくれた隣のおじさん/ニキタ・フユ
→こういう「隣のおじさん」みたいなよくわからないあやしい人物に心惹かれるのです。オレがそうなりつつあることとも関係あるのでしょう。
「後悔」の重さと「パラパラ漫画」の楽しさの奇妙な融合。



未来っていつも見えない 暗いのと眩しすぎるのとがあるけれど/あみー
→ふたつのコメントが寄せられていますが、どちらも「たしかに」「確かに」から書き始められています(そのうちのひとつはオレのコメントなのですが)。
「たしかに」と思わせる歌です。「言われてみれば」という歌です。
「未来」と「いつも」。「の」の使い方。「とがあるけれど」という結句。細かいところを気にしながら読んでもおもしろさがあります。



ちなみに、オレの歌は高得点歌にのこらず、しかもコメントも寄せられていないのです。まったくのスルー。もっとちゃんとしなきゃな……と思いました。



短歌以外にも文章などたのしいコーナーがあります。
うしろのほうのページにある「もねさんのちょこっと占い」をやってみました。
周囲の人との調和、思いやりを大事にしよう。美しいものに触れよう。愛について詠んでみよう。
とでました。
はい。わかりました。







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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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