著者謹呈の歌集をブックオフに持ち込んでいる著名な歌人が誰なのか判明した

ショックなことがあった。知らなくていいことを知ってしまった。


ブックオフのとある店、わりと新しい歌集がたくさんはいってくるんでチェックしてるんです。

それらにはよく「謹呈」のしおりがはさまっている。
たくさんの歌集を謹呈されているってことは著名な歌人の方がここに売ってるのかな、誰が売ってるのかなーと思ってたわけです。

謹呈のしおりがはさまってて、アンケートはがきや刊行案内の紙もはさまっている。しおりだって、垂れてなんかいなくて真ん中らへんのページに折り畳まれたままだ。読んだ形跡が見えない。そういうあたらしい歌集が何冊も入ってくる。



先日、そんな本の一冊、Yさんという人の歌集を見ようとしたら、私信がはさまってたんです。著者のYさんから、「K」さんへ、と。季節のことなどを書いたあたたかい内容の手紙だ。
先日は歌集を送ってくださりありがとうございました、私の歌集を送ります、そんな内容。


びっくりしてしまった。


そうか、このKさんという人がブックオフに売っていたのか。Kさんといえば名前をよく聞く東北の歌人だ。謹呈が多いのももっともだ。
ページひらいていきなり「あのKさんはYさんの歌集を売り払った」なんて事実を突きつけられて、ヒヤッとした。
動揺してしまい、買おうとしていたYさんの歌集を棚に戻しておろおろしてしまった。それからまた取り出してまた見て、やっぱり本当なんだと確認してまたおろおろした。

だんだん嫌な予感がして、店にならんでるほかの歌集も見てみた。
そしたらまた同じ「K」さんへの私信がはさまっている歌集がみつかった。今度は絵ハガキだ。ハガキに小さな字でびっしりと書いている。やはり歌集へのお礼がある。ご丁寧にこの方は、Kさんの歌集から歌を何首も引いて評している。

やっぱりKさんがここに売ってたんだ。
真新しくて謹呈のしおりのついたたくさんの歌集はKさんに贈られたもので、Kさんが売ったのだ。
新しい歌集がけっこうある。ブックオフでは新しいものはいくらか高く買い取られる。


なんともいたたまれない。


贈ってもらったものをどうしてこうも売り払えるのか。あなたに読んでほしくて贈ったわけでしょう。
しかしまあ、読まない本がたくさんあったらこういうところに持ってくるのは分かる。オレはただの通りすがりの客だし、Kさんの事情はなにも知らないわけだからさ。

KさんがKさんのものをどうしようが勝手で、だから売るのは勝手で、オレもその恩恵にあずかっているわけではあるが、
ハガキやお便りくらいは抜き取ったらどうなんだということだけは文字を赤くして言いたい。できれば謹呈のしおりも取り除いていただきたい。
客としては商品に余計なものが入ってるのが嫌だし、
歌人としては、(おそらく)読まれずに、(おそらく)最初のページを開いてもみずに売り払われている歌集を見てショックだった。
お互いに歌集を贈りあっていて、相手は読んで評してくれているのに、もう一方の歌人はすぐさまブックオフに持ち込んでいる。

もうKさんをこれまでと同じには見れなくなってしまった。某所に連載されている一首評も素直に読めなくなってしまった。



KさんはSNSにはいらっしゃらないようだが、短歌年鑑に住所があったんで「ご注意」ということで一筆書いた。
私信は抜き取ってから売却なさってくださいと。
オレは歌人としてどうこう言える立場にはないが、客として「商品に異物を入れないで」とは言える。
あるいは人間として「私信のはさまった本を売ると相手のプライバシーを侵害しかねません」くらいは言ってもいいでしょう。
ちゃんと見ないブックオフもよくないんだがな。でも、ブックオフにはそういうのは期待してない。だってブックオフでしょ。この歌人にはそれよりは期待がある。だからKさんに言うのだ。


いずれにしてもオレのKさんへの信頼のゆらぎは簡単には回復しない。この動揺をどうしてくれる。


Kさんにも言い分があるのかもしれないが、それが聞こえないことにはこちらで判断するほかない。Kさんからの返信次第ではこの記事に修正をくわえる可能性がある。


昔のオレだったらあえてその歌集を買って、私信を写真に撮ってツイッターにアップするくらいのことはしそうだな。
いまはそれより少しだけ常識がついた。
「誰なのか判明した」とはタイトルに書いたが、それが誰なのかを教えるとは書いていない。それを不満に思う非常識な読者はここにいないとは思うけれども。


まあとにかくいまのところは、何か作ることがあっても、この方には送りたくないなという気持ちがある。
これは氷山の一角にすぎないのかも、歌壇のある場所はこんなふうに回っているのかもと思うと暗い気持ちになってくる。
一方で、どしどし本が送られてきたら読みきれないし邪魔でたまらんだろうなとも思い、同情もする。考えるとくるしい問題だ。




著者の立場から書かれた、こうした記事もある。

著者謹呈の札に思う - 平山瑞穂の白いシミ通信 http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/211072/181870/75438972



オレはそこまで売れている歌人ではないので、送っていただいたものはちゃんと読んでツイッターに書いたりブログ記事にして紹介しますんで、安心して送ってください。住所は短歌研究年鑑で。またはツイッター @mk7911 までお問い合わせを。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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