西村賢太『廃疾かかえて』を読んだ

西村賢太『廃疾かかえて』
三編が収録されている。

「廃疾かかえて」は同居する秋恵がその友人・久美に金を貸していて、貫多がそれをやめさせようとする話。あくまでも秋恵は久美を擁護し金を用立てようとする。
解決せずにおわる。次の話につづくのかと思うと、続かない。


「瘡瘢旅行」は藤沢清造の資料を入手するためにあの手この手をつくすところがおもしろい。わずかな資料のために旅行もすれば、嘆願もするし、金を投じ、駆け引きする。執念がすごい。


オレにこんなふうにしてものを手に入れようとしたことはないし、まるで異世界を見るようだ。


「膿汁の流れ」は秋恵の祖母の病気をめぐる話。秋恵は心配し祖母のもとに駆けつけようとするが、貫多はどうせたいしたことないとタカをくくって止めようとする。
そこから貫多の幼少時からの家庭の回想がはいり、複雑な家庭環境があかされる。貫多は回想を経て気持ちを変えて、秋恵に同情する。めずらしくいいところをみせて秋恵をおくりだす。

だが、出かけた秋恵から多目に渡された金を豪遊でパーッと使ってしまう。風俗にまでいく。それが実に気持ちよさそうで楽しそうで、引き込まれる。
祖母を亡くし帰ってきた秋恵とのいざこざ。

ちょっといいところを見せてからの転落がすごい。あっぱれという感想。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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