「短歌研究」2016年8月号を読む  ~フォーリファイビヤーゾウルド、ほか

短歌研究 2016年8月号。



フラミンゴ朱く眠るを夜空よりひとつの指がさし示すなり/中津昌子「ひとつの指」
→眠っているときもフラミンゴは朱い。夜空から見れば目印のように見えるであろうか。
誰の指なのかと考えるとき、建物の高層階や飛行機などの高いところににいる人間とは考えづらく、神の視点かと思う。人が夜空を指すように、地上を指さす者がいる。


恨まれているかも知れぬ身体もて校舎の階段果てまで昇る/川本千栄「真珠光」
→恨みの念かもしれず、そうでないかもしれないモヤモヤしたものが、校舎をどこまでのぼってもついてくる。


夜の窓をひらけばつひにわが鼻を探し当てたる煙草のけむり/染野太朗「二十時頃」
→このけむりはこの鼻を探して夜の窓のそとをただよっていたのか。おれを吸いこんでくれと。



45-years-old。

フォーリファイビヤーゾウルド。オウルドの響きずずんと身に沁みにけり/大松達知「ガチで」

→発音された英語をカタカナにすると、授業っぽいなあ。「ずずん」が重いような、楽しいような。




特集は「七十一年目の八月」で、たくさんの戦争体験が載っている。

ほらあれが戦争座よ、と夏空の星がこちらをみおろして言う/吉岡太朗


吉岡さんまでのところと、服部さんからのところで、一本の見えない線が引いてあるように思った。

オレが小学3-4年のころの担任の先生は、戦争の悲惨を強く訴えた。食べ物の配給が少なくて苦しんだ話をしていた。
戦争というのはそういう辛い苦しいひどい悪いものだというのがその頃には印象としてあって、それは今まで変わらず疑わず来た。
配給のイモが、ふつうに食べたらすぐ無くなる程度しかなくてとても足りなかったというくだりだけなぜか覚えてる。
ほかにもその先生はなぞなぞを出してくれたりいろいろあったんだけどその話を一番覚えてる。

何を言いたいかというと、オレは戦争は無条件に悪だと思っていて、それ以外の方向には考えちゃいけないもんだと思っている。それは盲目的とも言える。
服部さん石井さんはどうやらそうではなくて、オレが盲目的であるところのものに対して目を開いている。それが良いことか悪いことかはオレにはわからない。
オレには話題が大きすぎる。



悪口に付きくる笑い声だろうエレベーターの開く瞬間/田村ふみ乃「ティーバッグの雨」
→中城ふみ子賞の作品から。日常のなかにある危うさや気味悪さをうまくつかんでいる。
笑い声の断片から悪口を感じ取っている。


生は死のへうめんであるあかるさにけふ青年は遠泳したり/渡辺松男『雨(ふ)る』
→生の輝かしさと、死の深さ広さ。海面に生があり、その下に死があるようなイメージをもった。


素足でも行けるところが増える夏すこしあぶない牛乳を飲む/宥生
→うたう★クラブから。
夏の開放的なところと危ういところが出ている。あぶないことがしたくなる季節なのは、なんとなくイメージではわかる。

この方はうたう★クラブ賞にもなっていて、そちらの歌もいい。



新人賞発表の9月号が出たので急いで更新しました。
んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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