坂口安吾をいろいろ読んでみた

六月のはじめから、一ヶ月半ほどかけて集英社の日本文学全集全88巻のなかの「坂口安吾集」を読んだ。時代ものはどうも受け付けなくてとばしてしまった。
それについて折々にメモしてきたことをここにまとめておく。



坂口安吾を少しずつ読んでいる。
「風博士」「村のひと騒ぎ」はドタバタした漫画みたいな話。



「木々の精、谷の精」を読んだ。これはもっと真面目で、美しい女性が何人も出てくる。かわった少年もでてきて、謎の死もあり、陰影がある。


「勉強記」は珍しい言語を学ぶ学生の話。主人公が変わり者だと思っていたらだんだんキャラが弱くなっていった。



「古都」は碁会所をひらく男たちの話。出てくる男が人間のクズばかりで、大変すがすがしい。よかった!



坂口安吾「白痴」を読んだ。初めて読んだつもりだったが、途中で知ってる感じになったので、たぶん再読だ。再読だとしたら15年ぶりくらい。
空襲の描写に圧倒された。



坂口安吾「女体」を読んだ。
性欲や嫉妬が充満していて、なかなかオレの好みだ。

半端な終わり方だと思ったら、次の小説に続いている。

その続きである坂口安吾の「恋をしに行く」を読んだ。
はじめは信子という女性の性格やふるまいを読んでいたんだけど、急にエロ小説になった。ころげまわったとか十の字になって重なったとか書いてあり、どんなセックスなんだろうと思った。うらやましくなる。
肉体のない魂の恋のことを書きたいようだが、肉体の生々しさばかり印象にのこった。




坂口安吾の「青鬼の褌を洗う女」を何日もかけて読んだ。長くないしわかりにくくもないんだけど、なんだかんだで時間がかかった。

ひとつの女性の性格とか愛情の形を示した作品、ととりあえずはメモしておく。




坂口安吾「桜の森の満開の下」読了。

桜の木の下に死体が埋まってるってやつかなと思ったら、それは梶井基次郎で全然関係なかった。

まんが日本昔話みたいな話だけど、異様に血なまぐさいし、でもなんだか美しいところもあって、不思議な読後感だ。
ものすごく美しいけどわがままで残忍な女が出てきて、この女はなんだったんだろうと思う。これも桜の魔力と関係あるのか。
相容れない二人の関係がなんだかさびしかった。



坂口安吾「日本文化私観」読了。
古いだけの伝統には無頓着だと言いたいのかもしれないが、いろんな知らないものの名前が出てきて、よく知ってるなあと思った。




坂口安吾「堕落論」再読。戦争が楽園だというのが印象的だった。「偉大な破壊」という言葉で空襲が肯定されていた。

全体的にはよくわからなかった。さまざまな制度や拘束によって人間はかろうじて支えられているが、人はつねに堕ちていこうとしている。そのあわれさを言いたいのかなと読んだ。全然ちがうのかもしれぬ。
解説を読むと、どうやらこれが書かれた時代背景が重要らしい。




「青春論」読みおわった。坂口安吾の本はこれでおわり。
二十歳で死んだ、表情も言葉もない姪の思い出。
宮本武蔵の剣術の話がおもしろかった。死を恐れ生に執着した結果としてうまれた、なにがなんでも勝つための剣術。遅刻したり、早く来たり、準備していない相手の隙を見て攻撃したりする。場に合わせた「変」の剣術。
「生きることが全部」という結論。







以上。
これは「日本の文豪に読んだことない人がたくさんいるから読んでおきたい」ということで読んだ本。田山花袋につづいて二人目となる。

ところが最近は、昔の本より現代のものに興味がでてきている。現代の作家もほぼ誰も知らない。文豪読んでみたシリーズの継続はあやういところにある。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR