「短歌研究」2016年7月号を読む  ~ねこじやらしの中を歩く猫、ほか

短歌研究 2016年7月号


野良猫はフェンスの穴をくぐりぬけ嘔吐してをり竹の根方に/渡英子「夜床朝床」


春の月は細くとがつてもう何も照らしはしないけれど(文字数/荻原裕幸「万緑迷宮篇」

→「(文字数」はツイッターでよく見られるもので、140字におさまらなくなったときに使われます。かといって続きがツイートされることはまずなくて、文字数がオーバーするくらいの思いの強さが読者に手渡されます。



どれくらい登れば海が見えるのとあなたの声、鳥の声、汽笛/千種創一「水文学(すいもんがく)」
→下の句でしめされる三つのものが印象的です。あなたの声、鳥の声、汽笛。徐々に言葉から音へと変わっていきます。6音5音3音と短くなります。「あなたの声」が意味を失い音になっていくような心細さを感じました。いずれにもK音とT音が含まれているのは偶然なのでしょうか。



冷蔵庫に石を冷やしているような男であろうしゃべりつづけて/奥田亡羊「男歌男ファイナル」


「短歌と音楽の素敵な関係」を読んで思ったのは、さまざまなかたちで音楽にたずさわっている歌人って多いんだなということです。そういう方を選んで依頼したのかもしれませんが、そうならば、「短歌研究」の編集部の方は歌人のみなさんの活動についてかなり深く把握しているのだと思います。


柏崎驍二さんの追悼特集から。
この世より滅びてゆかむ蜩(かなかな)が最後の〈かな〉を鳴くときあらむ/柏崎驍二

眠るときは愉しきことを思ふべしねこじやらしの中を歩く猫など/柏崎驍二

→なるほどたのしそうで、なおかつ眠れそうな気がします。


放課後の教室に来て空間を目に凝らし見つこれでおしまひ/柏崎驍二




作品季評では、鳥居さんに野菜の歌があるのを知りました。オクラ、かぼちゃ、大根の歌はとてもよくわかり、もしかしたらオレと同じ系列の店なのではないかと思ったりもしました。



さつきやみすべてをコントロールする欲を捨てよと雨降りやまず/中村幸一『あふれるひかり』


春らんまん学芸会でみな老婆それでも君はひとめでわかる/山崎公俊








オレの歌は、短歌研究詠草が一首で、うたうクラブが星無しの佳作でした。要するに、考えられるなかで最低の成績でありまして、ざんねんでした。

はじめは悔しいんですが、よくよく見ると、「こんな歌を作っていれば、そりゃあダメだわな」という気持ちになってきて納得がいきます。


先日発売された8月号では、短歌研究詠草で四年ぶりに準特選をいただきました。それについては8月号の記事で書きます。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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