「羽根と根」4号を読む  ~小さな呪術、ほか

「羽根と根」4号。



60ページあるうちの3分の2が「企画 定形と文体」にあてられている。評論がいくつか載っている。

フラワーしげるさんの、短歌は小さな呪術で、それによってハンドメイドの虹や蜃気楼をつくることができるという話は、わくわくした。

千種創一さんの「定型空母論」は論の進め方が丁寧で、読みやすかった。

佐々木朔さんの、「交換可能に見えるがゆえの交換不可能性」もわかった。
評論に苦手意識があるんで、「なんとかついていけた」ってだけでなんかうれしい。




落ちている叩く揺さぶる開けてみる驚く笑う抱く抱きしめる/服部恵典「七月の手品師」
→まるで、文字でおこなうパントマイムだ。動きだけで表現されているのは、手品かもしれないし、あるいは恋人への贈り物かもしれない。



ぼくたちのするべきことはすでになく海に面した窓をひらいた/佐々木朔「橋と水/ペテルブルク」



ゆっくりと瞼をひらききるときの夕空、鳥を嘔吐している/坂井ユリ「藤」

→「むせかえるような」とでも言えばいいのか、匂いがしてきそうな連作だった。景色も物もみんな命をもって生きているみたいで、怖いくらいだ。


電柱と塀の間をくぐりぬけパワーを出そう次のそれまで/阿波野巧也「たくさんのココアと加加速度」
→電柱は道の隅のほうにあるから、電柱と塀の間は狭い。人がひとりやっと通れるかどうかだ。
そんな場所をわざわざ通るのは、一種の遊び、ゲーム感覚だろう。そこを通るとパワーが出るという自分だけの設定があり、そのパワーは次の電柱と塀まで持続されるのだ。

オレのころは、マンホールを踏むと減点で、草を踏むと回復するというルールだった。
ルールは違っても、とても懐かしい感覚だなと思って丸つけた歌。

工場の灯りを見てるつめたくて つめたいフライドポテトをかじる/阿波野巧也「たくさんのココアと加加速度」
→一字空けのあとの「つめたい」はフライドポテトにかかるとわかる。その前の「つめたくて」がどこへかかるのか、工場の灯りの印象なのかなんなのか、それが曖昧なところに広がりがあって良いと思った。



おわります。







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谷じゃこさんの、短歌で遊ぶフリーペーパー「バッテラ 05号」に、わたくし工藤吉生がゲストとして参加させていただいています。

テーマは「ゲーム」です。二人のいろいろなゲームの短歌が載っています。
また、ゲームと関係なしに連作もあります。


7/23の札幌文フリ(文学フリマ)、めためたドロップス(う-18)で配布するとのことです!
ほかにもいくつかのお店などで手に入ります。
どうぞよろしくお願いします。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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