「NHK短歌テキスト」2016年5月号を読む  ~一枚の刃となりたり坂は、ほか

「NHK短歌テキスト」2016年5月号。


あめんぼの足つんつんと蹴る光ふるさと捨てたかちちはは捨てたか/川野里子『五月の王』


金曜といふ語うつくし蜂蜜の壜提(さ)げて金曜の橋わたりきぬ/雨宮雅子『昼顔の譜』

→金、蜂蜜、金、と歌全体が金色に輝いているみたいだ。そのなかに橋がある。


緋の色の自動車(くるま)がくだりゆきしより一枚の刃となりたり坂は/真鍋美恵子『彩秋』
→緋の色が血だというのか。車が流れおちる血の一滴となる。血が出てから刃物が生まれるという順序もおもしろい。


転がるは心地よからむ風の坂吹かるる紙にうらおもてあり/栗木京子『綺羅』
→紙は吹かれて転がっている。「心地よからむ」や「うらおもてあり」でその吹かれぶり、転がりぶりが生き生きと描きだされる。


過ぎゆきてふたたびかえらざるものを なのはなばたけのなのはなの はな/村木道彦『天唇』
→字の形に特徴があったり、視覚にうったえる効果を持つ歌は、本来の縦書きでこそぞんぶんに持ち味を発揮できるのだろうけれども。
ひらがなにくらくらとする。なのはなに取り囲まれるようだ。




入選歌・佳作歌。

ベレー帽かぶりし佐佐木幸綱を想像しては一人笑いす/松木秀
→これを佐佐木幸綱さん本人が 「帽子」の佳作に選んでいるのがおもしろい。
こういうことってたまにある。選者が選者本人を詠んだ投稿歌を選んでいる光景。

つい、右のページの幸綱さんの写真に想像でベレー帽をかぶせてしまう。



フラレてもつながっている空の下なんぞと言ってまた嫌われる/本田純子


お前だよ赤い歩行者信号のランプのなかに立ち尽くすのは/西村曜

→オレじゃねえよと言いたくなる。でも、決まってしまったのだ。
永遠に赤一色の空間で停止していなければならない。なんの罰だというのか。






オレの短歌は二首載った。

年間大賞発表のページに例の

生命を恥じるとりわけ火に触れた指を即座に引っ込めるとき/工藤吉生

が載った。選評は以前テキストに載ったときと同じ。
このことについてはこちらの記事にも書いた。
http://blog.livedoor.jp/mk7911-akogare/archives/51950615.html


また、短歌de胸キュンの佳作に一首載った。

カッコーが鳴ったら渡る青信号このカッコーは嘘をつかない/工藤吉生


んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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