「現代短歌」2016年4月号を読む  ~冬の茜ががんがんしづむ、ほか

「現代短歌」2016年4月号。
「東北を詠む」という特集がある。


立ち話の人去りし仮説住宅に冬の茜ががんがんしづむ/柏崎驍二「越えがたく」
→立ち話の人がいなくなったしずけさに、追い打ちをかけるように日が沈んでいく。「がんがん」が印象的で、日の沈む速さと容赦のなさがあらわれている。


黙礼するにあらねどすこし俯いて道路除染の前を過ぎたり/齋藤芳生「春の向こう」


雪の原青々と翳る時のありいづくともなき北のふるさと/扇畑忠雄


あの日から歳月五指の小指まで ダンプカー連なり冬陽を弾く/丹治久惠「日差しあまねく」

→五年ということが五本の指になり、さらに連なるダンプカーへと変化してゆく、そのイメージの移り変わりを良いと思った。


粉ミルク求めて街中のドラッグストアを奔走したり雪に濡れつつ/松田久恵「回想」


東北の歌人たちの作品7首とエッセイが50くらい載っていたけど、良い歌は少なかった。五年たったということと復興が進まないことばかりで飽きてしまう。




五百円出して受け取る釣銭の十四円軽しレシートのうえ/松村正直「塔について」


おかわりの珈琲を飲む一生に飲むコーヒーに限りあれども/松村正直「塔について」

→コーヒーを飲むことで一生の終わりに近づいているような感じを受ける。実際はすべての行動が死に向かいながらの行動だとは思うけれども。
飲むときは「珈琲」、限りがあるのは「コーヒー」。漢字の方が味がありそう。


人界の余白のごとし青白く光れる公園車窓より見えつ/楠誓英「団地のあかり」


しろたへのチョーク一本取り出して竹と大きく黒板に書く/本田一弘

→作品時評から。「一読して「竹」でなければならぬと心より思った」とさいとうなおこさんの評。オレもそう思う。この「竹」の説得力はなんだろう。


東京(とうけい)の言語を「標準語」とすれば吾らみちのくの土語(ことば)卑しき/本田一弘
→こっちは春日いづみさんの作品時評から。これらの歌の評に「方言撲滅運動」とか「方言札」という言葉が出てきて驚いた。

方言札について調べてみると、検索上位には沖縄のものがたくさんでてくる。「わたしは方言を使いました」などと書かれた札だ。生徒が首からぶら下げたという。


人のむれはすぐにさへぎるまだ明き夕街にふと別れてしまふを/森岡貞香



この本おわり。







オレは「特別作品」に「駅」五首と、読者歌壇の佳作に載った。
特別作品は解説つきでnoteの有料マガジンにアップした。500円でいろんな記事が読める「工藤の有料マガジン」をやっています。

特別作品「駅」|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/ne0b639938acf





んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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