田山花袋『蒲団』内容と感想

田山花袋『蒲団』を読んだ。
集英社の日本文学全集で読んだ。








《記憶であらすじを書く》

主人公の時雄という男は文学者。弟子入りを志願する女がいて、断ったが断りきれず、弟子となる。それが美しい女で、時雄は心を動かされる。

その芳子という女の弟子が、時雄の姉の家に寝泊まりするようになる。のちに時雄の家の二階に住むようになる。時雄には妻子がいて、水面下でギスギスする。


芳子と恋仲の田中という男が芳子を追いかけて勝手にやってくる。そして芳子と会うようになる。時雄は嫉妬に苦しむ。酒を飲んで、そとで寝転がったりしている。
田中を追い返そうとしてみるがうまくいかない。時雄は芳子の父を召喚するなどし、二人に圧力をくわえてゆく。

芳子と田中に肉体関係があったことがわかり、芳子は父に連れられ志なかばにして郷里に帰される。
時雄は芳子の使っていた蒲団を出して香りに包まれて泣く。おわり。






「ハイカラ」とか「惑溺」という言葉がよく出てきた。一部始終を「一伍一什」と書いたりする。

いろいろ古いと思ったよ。
文学の師弟のあり方がまず古い。弟子が当然のように師匠と一緒に住むというところ。今はなかなかそういうことはないでしょう。

女性の地位。妻の台詞があまりない。特別おとなしい性格というわけでもないようだし、妻は夫に意見しないのが一般的だったのか。とにかく妻子に存在感がない。芳子との仲をはばむ壁でしかない。

芳子のことにしても、女だから女だからという書き方が目だった。
手紙を勝手に見たりするのはどうなのか。いくら弟子でもそこは「引く」というか、軽蔑の感情が湧いても仕方ないところだと思うんだが、プライバシーについての考え方が違っているんだろう。

時雄のように感情的になって外で寝転ぶのは、ちょっと芝居がかって見えるが、普通だったんだろうか。

あとは肉体関係についてで、それがあるとかないとかが進路に決定的な影響を及ぼすというのが、古い物語だなと思う。






そういういろんな現代との違いを一旦受け入れたことにして読むと、人間関係が面白い。恋のかけひきが面白い。結ばれようとする者と、それを阻む者の力比べに興味をもった。田中や芳子の父の人物描写もよい。

最初から男女のいざこざが出てきて、最後までいざこざの話だった。
体言止めのせいか、スピード感があった。ぶっきらぼうな文だ。
おもしろかったなあ。
ピュアな話のようで、どす黒くって。


以上。


これで、以前まとめた「ネットでよく紹介されている日本文学の名作74」 http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52162839.html
のうちの一つを消化した。74作品のうち29作品を読んだから、残り45作品になった。
せっかく田山花袋の本があるわけだから、ほかのも読んでおこう。


んじゃまた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR