短歌と俳句の文学誌『We』創刊号を読む  ~垂直なる湖水面、ほか

短歌と俳句の文学誌「We」を読む。



「We」については、編集発行人である西田和平さんのブログにくわしい。 https://t.co/njZj3DaGNa

「We」は短歌と俳句が半分ずつ載っている同人誌。短歌は西田和平さん、俳句は加藤知子さんという方が中心になっている。
この三月に創刊されたが、半年に一回出していく予定らしい。

塔のブログでも紹介されている。
https://t.co/gWI4MekJiM

短歌は17人の方が参加している。オレは創刊号にお声をかけていただき、10首を載せていただいている。

17人の顔ぶれのうちの半分ほどは、いま貼り付けた塔のブログにある通り塔の方達だ。20代から30代の比較的若い方が多い。
ではもう半分はどんな人たちかというと、西田さんの地元の熊本県の方達だ。熊本歌人協会に入っているということなので、そこでつながりがあるのかもしれない。なのでかなり熊本の方が多い。

オレが声をかけていただいたのは、オレが「塔」の人だったからだ。でも誘っていただいた時点で退会していたのだった。
オレはこのなかで、塔会員でもなく熊本県民でもない唯一の歌人ということになるのかな。

オレがあと少し早く退会していれば、ここに参加していることはなかったんだろう。
ということは、あと少し長く在籍していれば別なところで違った展開もあるいはあったのかもしれないが、まあ、すべてはタラレバだ。

とりあえず創刊号では塔と熊本の人でかたまっているが、二号以降では変わっていくことも充分考えられる。

40ページからなるこの創刊号は、作品とそれに添えられた短い文章が全体の大部分を占める。二号からは評のページが入ってくるらしい。






前半は俳句の部。オレはほとんど俳句に関わらないでここまできた。でも読んでて面白かった。そのへんも作品を引いていく。
俳句にも一応思い浮かぶことをコメントするけど、もしかすると俳句の人からするとすごく変なことを言うかもしれない。まあ、短歌の評もいつまでもこんなんだから同じことだ。



蛇として生まれしばらくうわの空/谷口慎也


眼科出て増えているなり鰯雲/谷口慎也

→時間が経過して空の様子が変わったとも読めるし、治療で眼がよくなった結果より多くの雲が見えるようになったとも読める。その二重に読めるところが面白いんだと思っている。


庭の栃の木切ればと言う妻ニホン危うし/宇田蓋男「かたくりの花」


冬来たりなば白バイに追い越さる/宇田蓋男「かたくりの花」

→白バイが冬を追い越したと読んだけど、これすら不安なオレの日本語力だ。
とすれば、冬は法定速度を守っているというわけか。白バイの「白」が冬っぽい。



カメラで覗かれた胃で雑煮食う/瀬川泰之「無精卵」


青年の胸やシャワーを拭き残し/瀬角龍平「身辺小景」


枯野まで回転木馬乗り継げり/夏木久「回転木馬と乳母車」

→回転木馬ってあれでしょ、メリーゴーランドの。同じところを回っていてどこにも行けない馬だ。
でも遊園地とはかけ離れた「枯野」まで行ったという。乗り継いでるのがおもしろい。

オレが乗ったのは小さいころだったな。だいたい小さいころに乗るよな。「枯野」はだいぶ年を取ってしまった感じだ。
馬が回転しているということは物理的には堂々巡りでどこにも行けないが、催眠的な効果があり、意識は遠くへ誘われるということはありそうだ。
小さいころのことを次々に思い出しながら、現在までを思い返していた、などと読んでみた。


ドロップの缶より聖夜ひとつ出す/夏木久「回転木馬と乳母車」
→ドロップはきれいな色をしている。クリスマスツリーの飾りもそういえば丸くていろんな色をしているのがある。


俳句の部おわり。





短歌のほうから引いていきます。


窓は垂直なる湖水面たましひのぶんだけ滲む身体を浮かべ/浅野大輝「glider」
→室内から見たときに窓の外がみずうみみたいに見えるということかなと。からだがにじんだり浮いてもいるし、肉体感覚の不思議なところをとらえていると思います。


ひとしずくガーゼに吸われゆくようにデジタルの9が変わる0へと/北辻千展「自選十首」
→自選には、「塔」で見たことある歌もあった。「We」は既発表作を出してもよいことになっていた。

デジタル機器によってはそのような数字の切り替わり方をするものもある。ガーゼを出すことで時間が液体化した。最高の数字が無に変わるなめらかさ。


すれ違う人が全員意地悪な気がして点字ブロックを辿る/長月優「ここがはじまり」
→わかる気がした。下ばかり見て歩く心境だ。「視覚障害者誘導用ブロック」とも呼ばれる点字ブロックはけっして意地悪をしない。


人として母としてまた妻として私としては後にまわして/てらもとゆう「冬の日々」
→「して」で踏みながら、無理なく意味も通した。標語みたいな歌で、ほめるのがややためらわれるが、31字でこれを貫くのはけっこう難しいと思う。



作品の引用は以上であります。
「We」は参加同人や購読会員を募集しているそうです。
参加は一回二千円(学生は千円)、購読は一回千円とのことです。どうでしょう。
ためらいを感じないこともない金額ですが、せっかくのご縁なので大事にしたいとも思っています。

そういうのに初めて参加したのがオレは「うたつかい」だった。
うたつかいの場合は、参加者は0円で三冊までいただけて、それ以外の方は一冊百円で購入できる。これはウルトラすごい価格設定なのであって、これを基準にするのはちょっと申し訳ないかなとも思う。






オレが「We」に寄稿した作品「殴られてしまえ」10首と短文は、いつか有料マガジン「工藤の有料マガジン【500円】」に載せるかもしれないし、載せないかもしれません。

「工藤の有料マガジン【500円】」は500円ですべての記事が無期限に読めますのでどうぞ。

原稿料の出る依頼が来ないので、こういうのでほそぼそとやってます。


最近はこういう有料記事を書きました。

ブログにきたひどいコメントシリーズ その2|mk7911|note(ノート)https://t.co/dMNri2dI2Y





んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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