ナイス害「なんたる害」を読む  ~そこから370度ターン、ほか

「なんたる害」はナイス害さんの作品集です。18ページです。


一番特徴的なのは大喜利と短歌が半分ずつ載っていることです。右のページが大喜利で、左のページは短歌なのです。

大喜利って、そうですあれです。IPPONグランプリとか、ああいうやつです。本の半分がそれなんです。
ですが、オレは大喜利を語る言葉を持ってないんです。下手に語るとダメにしちゃうというか。「面白い」としか言いようがないんです。



いつものように短歌を引きます。


玄関で交通事故を起こしてるサンダル達に見せる抱擁/ナイス害「なんたる害」
→サンダルを急いで脱いだからぶつかりあって、それが「交通事故」なんですね。ぶつかるサンダルが感情のたかぶりをあらわしています。



ユニクロの看板の上に座ってるおばさんのような不安な顔め/ナイス害「なんたる害」
→ユニクロうんぬんは長い比喩で、これらが「不安な顔」にかかってきます。
高い狭いところに一人でいれば不安になるでしょうね。なんでそれがユニクロの看板なのか、おばさんなのか、どういう状況なのか、そういったところに謎があります。



新しい苗字を呼べば振り向いてそこから370度ターン/ナイス害「なんたる害」
→どういうことなのかしばらく考えてしまいました。振り向いてからの370度は、またこちらを見ているんですね。まだ呼ばれ慣れていない名前を呼ばれる、激しい喜びのターンなんでしょうか。



新たに丸をつけた歌は、そんなところです。
以前ご紹介した歌もいくつも入っています。といっても知らない方もいるでしょうから再びご紹介します。



なんと俺、短い名前がだいすきで「手」と名乗る女の胸を揉む/ナイス害

違うこれでもない、これでもない、違う、と言いながらティッシュを出し続ける/ナイス害

フェデラーのバックハンドの勢いで手を振り払う 肩脱臼す/ナイス害

12位で「ラッキーカラーは白です」と言われてオレは死ぬんじゃないの/ナイス害




あらためて害さんの歌を見ると、ここに収録されなかった面白い歌もいくつもあります。
ページ数が足りないというか、もっともっと読みたくなる量です。


また、いろいろ実験的な歌もあるはずなんですが、「なんたる害」にはほとんど反映されていません。
パーレンを多用した歌、逆さまに読む歌、文字の打ち間違いをそのままにした歌、長いタイトルつきの連作……。そうした数々の試みはいったん無しになっています。
まあそれは「なんたる星」で見れるものなので、その代わりにここでしか読めない大喜利を入れたのでしょうね。


最後にプロフィールがあります。害さんはオレと同じ1979年に生まれています。2010年まで何もなかったことになっているのが一番よかったです。自分の生涯から何を選びとるかは大事ですね。



この本はこれで終わります。
んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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