「なんたる星」2015年9月号を読む  ~しそうえて しそうえないで、ほか

なんたる星2015年9月号。



http://p.booklog.jp/book/101078
「なんたる星」2015年9月号はこちらからダウンロードできるます。



神様があの子泣かせたぶん殴るなんだよこいつ死なないのかよ/ナイス害「大阪ラバー」
→「泣かせたぶん殴る」のなかに「たぶん」と「ぶん殴る」が見えますが、泣かせた分量と同じだけ殴ったということと読みました。
「死なないのかよ」のなかに殺意があります。死ぬくらい殴ったのでしょう。神様がここではただ殴られています。



あきらめて あきらめないで しそうえて しそうえないで 秋あきらめて/ナイス害「大阪ラバー」
→赤上げて赤下げないで白上げて、という旗上げゲームみたいな歌です。
「しそうえて」に謎があります。「思想得て」、「シソ植えて」とも読めました。赤旗に対する白旗のように、「あきらめ」に対してなんらかの対応のある言葉かもしれません。
「死相得て」?「思想飢えて」?
「秋あきらめて」というと「夏をあきらめて」という昔のヒット曲を思いだしますが、このなかに「飽き飽き」があります。



これは絵ラー 2だ赤だ真っ黄色だどこ すすむ 歳が私にはあったのだ/恋をしている「全知」
→1~3首目は単語を入れ替えれば意味が通りそうに見えますが、だんだんおかしくなって6首目のこの歌が一番やばそうに見えました。

それでもけっこう親切で、「これはエラー」と最初に教えてくれています。誤変換つきで。まずは変換がエラーですよと。
数字や色や場所の認識、それから場所やするべきこと、自分自身を探り当てようとしています。バラバラに砕けた「知」を見るようです。



大泣きの顔をななめの角度からみたらかんっぺきに笑ってた/加賀田優子「ともだち」
→こわいですね。笑ってるのか泣いてるのか、どっちなんでしょうこの人は。
ピカソの絵画を思いだしました。横顔と正面の顔を両方描いたような絵があるのです。
「かんっぺき」の「っ」が、漢字の「完璧」とはちがう完璧さをもたらしているようです。

ほかにも「くじゅー」ですとか「きっもちわっるい」といった表現が見られます。「ともだち」同士ならではの表現というところでしょうか。



道沿いのビデオ屋さんのどすけべなひかりを 飲み物もって通った/はだし「してたような日」
→覚えがあります。そういう店のそういう光、わかります。
自分も飲み物も「どすけべなひかり」に照らされたわけですが、どすけべになったような感じが少しもしません。
光は届いてもすけべさは届かないのです。

ひらがなで書かれたことで、「どすけべなひかり」は全く無関係な遠くのもののように感じられます。
この「飲み物」は、なんだかとても効いているような気がします。



特におもしろかった歌は以上です。おわります。

んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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