岡麓『雪間草』を読む  ~雨の中の紅葉、ほか

筑摩書房 現代文学大系「現代歌集」は久保田正文の選で(この前読んだ新潮社の「日本詩人全集」も久保田正文が関わっていたな)、
歌人一人につきひとつの歌集を完全に収録するスタイルをとっている。

巻末のほうから読んでいくことにした。したがって、岡麓(おか ふもと)を今回は見ていく。岡麓からは最後の歌集『雪間草』が収録されている。

与謝野晶子は『みだれ髪』、窪田空穂は『まひる野』、土屋文明は『山下水』、土岐善麿は『六月』といった選択になっていて、その歌集の全作品が収録されている。よくわからないが、おそらく妥当なところなのだろう。

収録順は生年順ではなく、歌集の出た順のようだ。この本の一番最後が岡麓だけど、むしろどちらかというと収録歌人のなかでは年上の方だ。

岡麓についてはよく知らない。「近代短歌の鑑賞77」でやったことはあった。窪田空穂と同じ明治10年生まれ。アララギ。



左の眼わるくなりしが右の眼もすこしあぶなし眼は大切ぞ/岡麓『雪間草』
→くどさと当たり前さが、間の抜けた感じをだしている。
このあと目はさらに悪化してゆく。


けまんさう孫がもらひて来りしを絵にかかすれば似もせざりけり/岡麓『雪間草』


人来ねば炬燵に顔をおし伏せて時雨の雨と思(も)ひつつぞきく/岡麓『雪間草』


心切も受入れがたき場合にはわかりのわるき顔つきをして/岡麓『雪間草』


わが視力とみに衰へ雨の中の紅葉さだかに見えがたきかも/岡麓『雪間草』

→視力が悪ければなんだって見えなくなっていくが、なんでもあてはまるそこに「雨の中の紅葉」をだしたところに詩というか表現がある。


杖つきて外(と)にいで立てば赤とんぼ飛ぶ羽音ありかそかなれども/岡麓『雪間草』
→かすかな音のでてくる短歌は好きな方だけど、これは特にかすかだ。とんぼの羽音なんてほとんど注意して聞いたことないなあ。


日がさすと障子あけおく正午過ぎを来る人なくて松の風吹く/岡麓『雪間草』
→さっきのコタツの歌のような、誰も来ない歌。なんにも起こらない。そういう時間もいいな。


逝く人はかへり来らず月も日も留まれる者のうへにつもりて/岡麓『雪間草』


妻逝きて百日すぎけり病臥せる吾にむなしく日はすぎゆくも/岡麓『雪間草』



以上であります。ほんとに老いの歌という感じだった。

んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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