角川「短歌」付録「現代短歌アンソロジー」を読む  ~お前に似る者なきは幸ひ、ほか

現代短歌アンソロジー。
角川「短歌」に付録でついてくる文庫サイズの本。
(「新聞」を含む)総合誌や結社誌から作品が選ばれている。1ページ3首で50ページくらい。それからカレンダーがついている。

半年ごとに上巻下巻がでる。総合誌と結社誌という選択は、「ここ半年間で発表された歌を」というこだわりの結果だろう。
テーマ別になっている。



上巻から。

カマキリは「ワ、てれるぜ」といふやうに草の上からこちらを向けり/池田はるみ


誰か来て夜半に囁く「子のあらでお前に似る者なきは幸ひ」/安田純生

→台詞が古めかしいので、古代から存在しつづけてきたものが囁いているように見える。


開けやれば大きく西瓜座りおりわあわあわあと子は声を上ぐ/駒田晶子
→「わあわあわあ」に目が行くけど、「大きく」「座りおり」の落ち着きぶりがわあわあわあを活かしているのではないか。久しぶりに親戚のおじさんでも来たみたいだ。


その夜にあなたの手首についていたG-SHOCK的なもの ずっと前/永井祐
→Gショック、一時流行った。流行ると類似品がでてくる。きっと類似品をつけていたんだろう。
ずっと前なのにそれを覚えていて思い返している。それが夜だったことまで。「手首についていた」に異物感がある。

話は横道にそれる。
オレはナイキっぽい、しかしちょっと違うマークのついた、とっても安い靴を履いていたことがある。それを指摘されたことを覚えている。
指摘されるまで、気づかなかったんだよ。靴のデザインなんて見ないから。
言われて初めて、ナイキっぽいのに線が少しクネクネしているマークに気がついたのだ。
ナイキのマークって、「U」を鋭くしたようなやつじゃん。なんかオレのは「W」になってたんだよ。


限界の高さに伸びて樹木らはそれぞれの天に触れてよろこぶ/橋本喜典



つづいて下巻


そよ風の壁にめくれる母の文字「もうしません」と大書してあり/佐伯裕子


ゆふぞらを無人機が飛び無人機を撃つ無人機が来る 夕明かり/高野公彦

→お互いに無人機だったら、ラジコン対決みたいだ。無人機で戦争できるとしたら、ほかにどういうことが起こりうるだろう?

ゆふぞらで始まり夕明かりで終わる。その間は無人機。サンドイッチみたいな歌。


戦争の時代に生まれ戦争をひきずり生きてつひに脱ぎ得ず/坂出裕子


高速道路逆走をして死に至る老いの末路をなんといふべき/花山多佳子


とんぼ玉 目玉 火の玉 しゃぼん玉 るてんするものみな泣きながら/佐藤弓生

→「ながら」で終わるのが、流転しつづけるものにふさわしい。しゃぼん玉などが泣いているように見えるのはよくわかる。


なぐさめのための行事に微笑みぬいまだに職なき仮設住まいは/山本司


「安寧」の意味など今日は訊いてくる佐藤かおりに何がありしか/森山良太




以上であります。
なんとなくものが言いづらいのは、歌集などと違って前後がわからないからであります。

んじゃまた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR