「タンカドウラク2」を読む  ~泣きながら歯を磨く、ほか

同人誌「タンカドウラク2」。


60ページ。かなりいろんなものが入っているバラエティー豊かな本です。

オレと関わりのないというか、オレがあんまり触れないようにしてるような人が何名かここにはいて、名前もできれば直接書くするのは差し控えたい感じであります。
しかしまあ、おもしろい本ですよこれは。


秒針という秒針のうごきいる家にいて気はたしかなる夏/内山晶太「鉦叩き」
→時計があれば秒針は動いているわけです。秒針の動いているのを意識すると眠れなくなったり気がへんになりそうになります。この歌は、気がたしかであることに意識的です。
今はデジタルな時計もあるからそうでもないかもしれませんが。


たえなかすずさんが内山晶太んと対談しているんだが、たえなかさんはとても積極的だ。
内山さんは短歌を22年やっていて、歌集に入れる歌を選ぶ際に最初の10年の歌を省いたことなど。



ぽたぽたと涙が口に落ちてくる泣きながら歯を磨く「へ」の口/須田まどか「ざらつき」
→涙が口のなかに入らないように口をへの字にしている。
実際がどうかはともかく、本当にやっているなと思わせるという意味でリアリティーがあった。


一晩だけ君を人へと戻す爲一番光る部品を外す/酒井景二朗「地獄ヶ原」
→「君」は人ではなく部品があるという。ロボットかなにかだろうか。「戻す」ということは元々人間だったらしい。一番光る部品とはなんだろう。人が持っていてはいけないそれは一体?
背後に物語のありそうな一首。


メガシャキと眠眠打破を見比べて暫し迷えるひと時がある/鈴木麦太朗「呪禁博士」


死をそっと試着している夜だろうひかりの中に目覚めるまでは/高松紗都子「November」

→死と眠りが似ていることはよく言われる。試着に例えている。
眠るときにはカーテンをするので、部屋のカーテンと試着室のカーテンが重なるように思えた。


運転手も家族もみんな立っている人生ゲームの外車(コマ)の静けさ/笹公人
→確かに車なのにみんな立っているな。考えてみればオープンカーなのかあれは。
家族で乗っているから、「運転手」はひっかかる表現だし、「外車」もひっかかる。職業がしょぼくてもあの車だしなあ。



新いろは歌が収録されている。
オレだって口語いろは歌のユニット「kiz48」(口語イローハーZ)のメンバーなんだぞ。しんどいからもう作っていないけど。



はつなつのアップルパイを切りわけて死体みたいねあんたの寝方/不動哲平



短歌をとくに取り上げましたが、文字のデザインや表紙の絵も面白い本です。
以上です。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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