工藤吉生が選ぶ 2015上半期短歌大賞 60首【前編】  総合誌部門・「塔」部門

2015上半期短歌大賞。


この半期ごとの短歌大賞は今回で三回目。

企画の説明。今年1月から6月までに見た短歌のなかで特に好きなもの、印象に残ったものを60首選びました。



http://togetter.com/li/842561
こちらに歌だけまとめてあります。この企画の説明や歌の感想を加えたものがこのブログ記事です。歌だけ読みたい方はこちらへどうぞ。



説明のつづき。
半年に一度の華やかな感じを出すために「大賞」と言ってますが、別に何も出ませんしいつもの連投です。

普段とちがうのはtogetterにまとめることくらいです。
半年間にツイッターやブログでとりあげたのは約千数百首でしょう。そこからの60首です。



こういうのはオレの観測範囲が関わってきますんで、オレに何が見えているかを書いておきます。
半年で読んだ本をならべていきます。

短歌研究、角川「短歌」、塔が6冊ずつ。
NHK短歌は1、5月号、歌壇は2、5月号。
なんたる星は1.2-3.4.5月号。
うたつかい二冊。
篠弘『現代短歌史』ⅠとⅢ。
「東北大短歌 創刊号」
総合短歌新聞「梧葉」2014年夏号
岡井隆「茂吉の短歌を読む」
現代短歌文庫「続河野裕子歌集」
「短歌生活」6号
日本詩人全集29
辻井竜一ベスト短歌集『遊泳前夜の歌』
「平成26年度 NHK全国短歌大会 入選作品集」
「年刊詞華集二〇一三」
坂井修一『ここからはじめる短歌入門』
スコヲプWeb歌集「Colors」
「大阪短歌チョップメモリアルブック」
「めためたドロップスU」
玲はる名 個人誌「ブルートレイン」4号
「神楽岡歌会一〇〇回記念誌」
「羽根と根」3号
うたらばブログパーツ総集編Ⅳ
「岡大短歌3」
「みずつき4」
岡本幸緒『十月桜』
川田一路『NEXT ONE』


以上。五十冊ちょっとです。前回より減っています。

あと、対象になる本はブログにまとめた本で、つい最近ツイートしたものは次回の範囲となります。




過去の様子です

第一回 2014上半期ぬらっと!短歌大賞
http://t.co/P5cIJnToIs

第二回 2014下半期ぬらっと!短歌大賞
http://t.co/8E5EIBgp2H

もともとは

工藤吉生の「#わたしの好きな短歌100」・まとめ - Togetterまとめ http://t.co/oEE0nV8v01

の続編として企画されました。100首選んでも、あとからあとから好きな歌が出てくるから半年ごとにまとめることにしたのです。



今まで四つの部門に分けて発表してきました。
総合誌、
塔、
その他歌集・歌書、
ツイッターのタイムライン、
の四部門です。
今回は『現代短歌史』から多く入っているのでこれを一つの部門として加えます。

感想とかは前にとりあげた時にだいぶ書いたのであまり書かないつもりでいます。



工藤吉生の【2015上半期短歌大賞】


総合誌部門から。

一応これも断っておくと、古い歌でもいま出会えば今の歌であります。古典を現代に伝えるのも総合誌が力を入れているところであります。
古典もですが、書評も追悼特集も総合誌にはあるので「総合誌部門」はかなりなんでもありな部門です。



よわき児は力およばず胎に死ぬ母と戦ひ姉とたたかひ/与謝野晶子
1/60



おそるおそる引き揚げらるるうれしさのわたくし春の不発弾です/出口明彦『初蝶通信』
2/60



雛人形ゆゑあるものをいろいろもち凶器準備集合罪のしづけさ/川野里子「雛と朴の木」
「短歌研究」3月号
3/60



一つ鳴れば一つかなしき百鳴れば百もかなしき昼の風ぐるま/雨宮雅子『鶴の夜明けぬ』
4/60



新喜劇のなかの壁時計うごかねど差しさわりなく昼が夜となる/福崎定美「壁時計」
「短歌研究」5月号
5/60



無機質な同文メール打ち終えて霊安室の枕辺に戻る/日比光哉
「短歌研究」6月号 短歌研究詠草
6/60



お母さん、殺してもいいものをこの紙に書いてよ蟻とか団子虫とか/吉川宏志「ム」
角川「短歌」1月号
7/60



おのおののしたしきかほによそほひて死はわれら待つ うみにやまにまちに/吉田隼人「流砂海岸」
角川「短歌」2月号
8/60



囚衣にもポケットあれど入れる物なくて拾いしボタンを入れる/吉田耕一
角川「短歌」3月号 公募短歌館
9/60



「卑怯なり!飛び道具とは」といふセリフかつてはありき真実なりき/三田村広隆
角川「短歌」5月号 公募短歌館
10/60



子の吾の死刑判決ありし日に行き処なくさ迷える母/坂口弘
11/60



戦死せし子に陰膳を今もなほ供へゐるべしあの世の祖母は/栗木京子「兵役免除」
角川「短歌」6月号
12/60




死とか母親の歌が多く入ってきている。前はそんなんでもなかったと思うんだけど。オレのなかに変化があるんだろう。



ニッポンの清く正しいわたくしが紅茶にコーラ混ぜてにやける/内山佑樹
NHK短歌 5月号
13/60


変な歌や笑いの歌を選び続ける自分でありたいなあ。



総合誌部門は以上です。
「歌壇」からはなし。歌壇賞発表号からひとつと思ったが、結局やめた。







次は「塔」門。一冊から2首くらい選ぶつもりで調整した。


やりなほしはできないといふひとのゐて雑踏のなかへまぎれゆきけり/久保茂樹
塔 12月号
14/60



エジプトのみやげに本とビスケットくれた女のようだ煙は/高橋武司
塔 12月号
15/60



たつやくんのバンドの練習聞こえると畑二枚の闇に向きたり/吉岡みれい
塔 1月号
16/60

→オレの住んでるところではまずありえないよ。畑も近くにないし。それより、どこに誰が住んでるかわからない。
畑を隔てて聴こえるってことは、遠くまで響きわたっているようだ。



カラオケに身振りをつけて唄いゐし少女の一途今日のよきこと/村田弘子
塔 1月号
17/60



今日は「ポッキーの日」とラジオ告ぐ「誰も死なぬ日」があらば楽し/谷口富美子
塔 2月号
18/60



高一の日記出で来ぬ明日からはウマイヤ朝に入ると記され/黒沢梓
塔 3月号
19/60

→歴史上の時間、高校生の時間、現在の三つの時間が流れている。
高校生のころには記す意味のあったことが、今見るとそうじゃなくなっていたりする。



殴られる道具を選ばせてやらう 棍棒、札束、或ひは十字架/淡深波
塔 3月号
20/60



夕やけを左右に分けて病院のガラス戸開ける病む犬を抱き/林田幸子
塔 4月号
21/60



金が要る穴の中から声がしていくらと問えばあるだけと言う/山名聡美
塔 4月号
22/60



もう何を食べてもいいと言はれたる病床の父のソフトクリーム/干田智子「幼き麦」
塔 5月号
23/60



あなたまた笑ったでしょう踏切のサイレンが鳴り始めたとたん/真魚
塔 5月号
24/60

→「また」ってことは、条件反射でつい笑っちゃうのかもしれない。それにしても気持ちのいいものではない。
怖くてよくわからない歌。さっきの穴の歌もそう。




前半はここまで。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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