「みずつき4」を読む ~流されてく靴下、ほか

「みずつき4」を読みます。



「みずつき4」は6月1日に出た「Twitter短歌クラスタ有志 2015年初夏の合同歌集」。千原こはぎさんの企画・編集・装丁・制作による。
102人が6首ずつ出詠。水をテーマとしている。
まずネットプリントという形で出て、それからweb閲覧版(って言うんですか?)でも公開された。
オレは去年はデータで見て、今年はネットプリントで出した。折りたたんでホチキスでとめて本の形にした。
オレは去年今年とも歌を出しています。

ではいつもの感じで歌を引きながら何か言ったり言わなかったりします。



出航は晴れやかであれiPhoneを落した便器すこし光って/大葉れい「うずまき管に水音」
→送り仮名は書いてあるまま。
晴れやかな出航というから、太陽の下で船が海へ出ていくようなイメージで読むわけですが、その後にはiPhoneを落とした便器がでてきます。挫折したような感じになります。
もしかするとこれは、iPhoneにとっての「出航」なのでしょうか。落としてしまったiPhoneを前向きに見送っていると、読めないこともないです。便器の光も旅立ちを祝福するかのようです。


雨の降る夢をみていたラジオからもれるノイズの粒子をあびて/鶏尾ねじ「濡れ鼠」
→眠っているときに聞こえる音が夢に影響することがあります。ここでは、ラジオのノイズが夢のなかに雨として現れます。「粒子」がノイズと雨をつないでいるようです。



うみが呼ぶ 蹴れば自分が痛いつて気づいた子から道具をつくる/西藤定「雨より海は生まれき」
→道具を使って相手を痛めつければ自分は痛くないですね。便利です。でも、自分も痛くなるそのことが欠かせないことなのかもしれません。
「うみは呼ぶ」は、海が人にはるか昔の状態に戻れと言っているような気がします。



港からなにも言えずに帰る頃噴き出してゆく水門の水/スコヲプ「A day」
→言えなかった言葉が別の場所で水になって吹き出したかのようです。なにも言えないことと、水の勢いと、両方が引き立てあっているように見えます。



それがまずくちびるに降り真夜中の豪雨に流されてく靴下/なこあーる「青ばかりで嫌になる」
→「それ」がわかりませんが、くちびるに降るということは雨と考えられます。
くちびるって、キスを連想させたりもするんですが、ここではものを流すほどの豪雨になります。流される「靴下」はなんでしょう。口から始まり足におわる歌です。



2012年2月
くりかえし子にかけやる湯ナイブヒバクガイブヒバク皮膚うらがえしたし/沼尻つた子「水揺れる」

→震災後によく言われるようになった言葉のひとつに、内部被曝外部被曝というものがあります。カタカナにすることによって、音の汚さがあらわになります。ナイブヒバクガイブヒバク。ブ、バ、ガ、ブ、バ。
皮膚をうらがえしたいとは大胆です。反転するべきは世界の方かもしれません。



どんな日もダーツの先で村人が笑っているしこの国が好き/蓮「水曜日」
→日本中行く先々で面白おかしいことがあるというのも、思えば変な話なんですけどね。でもテレビの中では日本中の人が優しくて楽しいことになっています。




以上です。んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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