うたらばブログパーツ総集編Ⅳを読む  ~繋いだ手からさびしい、ほか

うたらばブログパーツ総集編Ⅳ。

「うたらば」について知りたい方はこちらを見ていただくのがよいです。
www.utalover.com


総集編Ⅲについて以前書いたが、2013年のことだ。
「うたらばブログパーツ総集編Ⅲ」を読む  ~空の色を伝えたい、ほか : ▼存在しない何かへの憧れ http://t.co/FbwtuMF2fy

うたらばで久しぶりに買い物した。しばらく使わない間に変わっていた。
Ⅲのときは、商品と一緒に振り込み用紙が送られてきて、それを使って振り込むかたちだったかと思う。

Ⅳの今回は、振り込みが先になっていた。サイトで手続きして(すると確認メールがくる)、銀行で振り込む(するとしばらくしてから発送しましたメールがくる)。そして到着という流れ。
BASEとかいうネットショップを開設できるサービスがあるのを知る。


総集編Ⅳは本体価格300円。Ⅲは同じくらいのページ数で200円だったけど、それについて何か言ったりはしない。
送料が150円。それくらいかかるよね。
振り込み手数料で銀行に324円とられた。

同じくらいのページ数と書きましたが、文庫本サイズで50ページほどであります。収録歌数が増えて、192首から248首になった。投稿数が増えた関係ですね。






Ⅲと比較しながら書いてますが、うたらばの時間の流れに興味をもっています。
ああ、この一年半のあいだにうたらばのロゴも変わったのでした。
チョークの粉を含んだ黒板消しで黒板をバンバンしたみたいな、あるいは靴で踏んづけられた跡みたいなロゴがなつかしい。

新しいロゴはちょっと色気がある。誘ってる。あるいは、水槽のなかのおたまじゃくしみたいでもある。それぞれが自由な意志で泳いでいきそう。

左が古いロゴ、右が新しいロゴ。 http://t.co/M8wlSVUHh5





「はじめに」のところで「短歌ってどんなもの?」という文章があります。ⅢとⅣで微妙に文章が変わっています。内容が変わるほどではないですが、こういう細かいところを見るのがオレは
好きですねえ。

「うたらばブログパーツって?」を読むと、あらためて、ブログパーツがフリーペーパーの「宣伝効果を狙って始められた企画」であることがわかる。
設置されたブログが70から80になっている。ブログがネット上にいくつあるかを考えると、あんまりブログパーツとしては流行ってない気がする。一年半で10ブログというのは。ツイッターを中心とした短歌コンテスト、として発展し定着してきた感がある。

定期的にネットで短歌のコンテストをする場が無いところだったので、うたらばはそういうニーズに応えていると思います。かつては枡野浩一さん、笹公人さん、あるいは黒瀬珂瀾さんがそういう場をもっていたんですけどね。「短歌道」というのもあったんですけどね。

(ブログパーツをオレも一回つけてみたんだけど、オレの閲覧環境からは空白にしか表示されないのでやめたのでした。ほかのブログパーツ参加ブログを見ても空白で見えるのを確認。)



この本にはブログパーツの第31回から40回の作品が入っています。採用作品はうたらばのホームページでも読めるし、botから流れるので、初めて見た歌はないことになります。紙で縦書きで読めるという点に特徴があると言えます。

編集後記がなくなって表紙フォト短歌ギャラリーができました。ブログパーツの採用歌から1首か2首に写真がつくわけですが、31~40回の12枚の写真が見開きに載っています。きれい。

投稿歌採用歌が増えて二回に分けて発表されることがでてきたのはこのあたりからですね。
2012年6月から2013年1月ということなので、3年前から2年数ヶ月前の短歌を振り返っているわけです。

このころのオレは……と自分語りを始めると長くなって帰ってこれなくなりそうですが、この本で確認できる範囲で言うと、名前が「くどうよしお」から今の名前に変わりました。第38回から。

そうです。自分の短歌が載ってるから買ったのです。
でもまあ動機はどうでも、買って支えるっていうのも大事です。



では中身に入っていきます。一度は見た歌ばかりですが、よく覚えてないような歌、久しぶりに見るような歌ももちろんあります。


振り払う指がつくった爪の跡 止まない雨は君に似ている/さとうはな
→「やめろよ!」とかいって振り払った拍子に爪で相手に傷をつけてしまったと。これはお互いにつらい。しかも雨がやまない。


雨上がりはいい匂いです六十年前は焦土だったという、この国の/飯田彩乃
→匂いを通じて、過去と現在がつながります。戦争のあとの焦土とはこんな匂いだったかと感じているんでしょうかね。
あとは「、」の置き方の妙ですね。歌は呼吸だなあと思ったりします。


つくられた音だよあれはバタフライナイフが刺さるときは無音さ/木下龍也
→この「さ」ですよ。バタフライナイフ持ってる人っぽい語尾ですね。「だ」だとバタフライナイフ持てない。


信号が点滅しても走らなくなった背中を追い越す背中/牛隆佑
→テーマ「緑」でこれをもってきたところに小技が効いています。青信号は緑に見えるという。
点滅は、もうすぐ赤になりますよという合図ですが、それを見て急ぐ人もいれば急がない人もいる。すこしくらい遅れても車は止まっててくれるし走るの疲れるし、といった気持ちでしょうか。

それを、急がなきゃ赤になっちゃうという人が追い越す。
よくある風景ですが、なにか象徴のようにも見えます。
それは「背中」によるものかもしれませんね。「父の背中」みたいに、背中が生き方をあらわす場合があります。


明日には切られる爪のような月 委員長って呼ばないで いま/リオ
→明日には切られるってことは、今日切るほどではないにしてもある程度は伸びた爪なんですかね。
下の句で人間関係が出てきていて、切られるのは人との関係のようでもあります。

明日には切られそうだけど、「いま」この月夜に、役職を離れたひとりの人間としての自分に向き合ってもらおうとしている。なにか切実なものを感じます。
と同時に官能的なシチュエーションのようにも見えました。


この海にぴったりとした蓋がないように繋いだ手からさびしい/むしたけ
→上の句ですごくでかいものを提示して、下の句で等身大になる。この変化。
はじめのころは、ふたりで海を見ていると上空から蓋をする手が現れるようなイメージで読んでたんですが、いまは世界地図を思い浮かべます。海と陸地を反転させた形の蓋を想像します。

オレは自分の想像した蓋の形をおもしろがってるんですが、でも言いたいのはさびしさのほうですよね。
さびしさに蓋をするように手を繋いでみたけどそこからさびしいと。なるほど。(オレはつなぐととても幸せだけど)
手をつないで逆にさびしくなるような、そういう複雑なところのある関係なのかなあと。


凍てついた国道ダンプで走りつつ日々憧れていた大惨事/たきおと
→危険な匂いがします。過酷な現実から逃れたい思いが憧れとなり、破滅に向かっていくようです。この大惨事とは交通事故でしょうね。


日常のすき間にふっと現れてか細く鳴いて消える豆腐屋/本間紫織
→遠く聞こえる豆腐屋さんの音。それだけといえばそれだけですが、そういったものに心を動かされることがあります。「すき間」「ふっと」「か細く」「消える」。ささやかさがいいですね。


チョコレートの誘惑マシュマロの誘惑うなぎの誘惑マヨネーズの誘惑/なつみこむぎ
→定型をはみだして四つの誘惑がならんでいます。みんな味覚で、そこはブレがありません。
甘いものからうなぎになって、マヨネーズで終わっています。流れがあるからスッと入ってくるけど、考えてみればあんまりマヨネーズに誘惑は感じない。マヨネーズなりに誘惑しているのかなあ。マヨネーズのかかった何かの料理なら誘惑してきそうだけど。マヨラーというくらいマヨネーズが好きな方もいるから、誘惑といえば誘惑なのかなあ。
なんでこれを? っていう終わり方がよいと思いました。狙ってる感じがなくて、じわじわきます。


紅生姜だらけになった牛丼の中にサラリーマンのかなしみ/龍翔

都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ/馬場あき子

なんて歌もありますが、紅生姜の色のイメージが何かの感じを起こさせます。なんだろう。安価な牛丼を食べてるから悲しいという理屈を越えたものが紅生姜にあります。

牛丼のメインの部分がなくなってきたみたいに、人生のうま味をあらかたなくしてしまった、みたいな。



というわけで、各テーマから1首ずつ引いてみました。
おわります。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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