「大阪短歌チョップメモリアルブック」の「タイトル無茶ぶり五首競詠」を読む

「大阪短歌チョップメモリアルブック」を、縁あって今になって読みました。


「タイトル無茶ぶり五首競詠」から四首引きます。これは、メンバーのあいだでタイトルを出しあって五首連作をつくるコーナーです。



友だちの友だちがパーマン、パーマンの友だちの友だちに照る月/牛隆佑「スローモーションの雄叫び」
→「友だちの友だちがアルカイダ」っていう言葉が一時ちょっと流行りました。パーマンもやはり顔をかくしています。身近なところにいるかもしれないヒーロー、それがパーマンですから、パーマンが実在する世界ならばありうることです。

あと、友だちからパーマンにたどりついて、そこからまた友だちづたいに戻ってきちゃうのが面白いですね。二句までのところは、自分の友だちの友だちがパーマンと読めるのですが、そこから自分に戻ってきたようには見えにくい。「照る月」があるからです。誰を月は照らしているのでしょうね。

余談ながら、「元カレ」「元カレの元カノ」「元カレの元カノの元カレ」「元カレの元カノの元カレの元カノ」……って続いていくACの昔のCMがあったのを思い出したりもしつつ。 https://t.co/MhgbLm1XPK



大根を嚥下しますか(はい/いいえ)いいえの方は吐きだしましょう/木下龍也「大根のおみそしる」
→ふだん考えずにしていることを、意識すると変な感じがします。口に入れた時点で噛んで飲み込むに決まっているはずなんですが、決まっているはずのことをあらためて問い直して異様なことになっています。



おれ専用の方程式にするために左辺から右辺に移項する/たた「大学」
→移項。ああそういうのあったなあ……と遠い目で思い出します。「おれ専用」がおもしろいポイントかと思います。
タイトル無茶ぶりなのに「大学」というそっけないタイトルをつけてしまううずめさん。



タイムマシンに不具合があり引出しから猫もメガネも帰ってこない/ユキノ進「閉じない蓋」
→なんのことかと思いましたが、ドラえもんですね。猫じゃなくて狸のほうがわかりやすかったかもしれない、と言ったらドラえもんに怒られそうですが。
ドラえもんを猫と、のび太をメガネと呼ぶような人はドラえもんの作中にいないわけで、引出しのまえで帰りを待ってる主体は誰? と思います。

あと、五首それぞれがカタカナ語で始まっていて、それぞれ別の「閉じない蓋」がうたわれている。こういうことは30首連作とかではできないわけで(やっても飽きられるわけで)、5首連作であることをいかした方法だなあと思いました。



以上です。んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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