歌集を読みました。中島裕介『Starving Stargazer』。ながらみ書房。2008年、本体2000円。
これ、見つけて中を見て、あー自分には無理だなと思ったんだけど、いつまでも店に残ってるから買ってしまった。
だってこれ難しいんだもん。難しいっていうか、英語が出てくるんだもん。翻訳ならば日本語のほうを読めばいいけど、翻訳じゃないから切り離せない。
英語のほうもわからないと完全に読んだ気がしなくて居心地悪い。
引用も簡単じゃない。英語が、簡単に引用させないためのイカリみたい。
韻を意識した歌が多いだけど、英語だと露骨に出るんだね。日本語なら、ひらがなカタカナ漢字といろいろあるけど、英語だとそれがない。単語ごとにスペースが入る+頭文字が同じ、ということにより「韻を踏んでるな」っていうのが一目でわかる。
でも、わからないなりに面白く読んだ。
外国文学を日本語にしたときに、馴染みのない調子の日本語になってることがあるけど、それよ。翻訳された日本語って感じ。
例えば最初の章のタイトルが「無菌室に居るための舞踏譜」っていうんだけど、翻訳っぽいよねえ。日本離れした日本語だよねえ。
「舞踏譜」って。「居るための」って。
そういった言葉が効果を出していて、なんかクラクラしました。
燃え盛る紙飛行機を放つより早く景色が補われて行く/中島裕介『Starving Stargazer』→英語がないのが良かった(申し訳ないけど、ほんとに英語が嫌です)。
空間や時間の流れに歪みがあるような感じだ。何かをしようとする時にはその何かはすでに失われている、現実が意識に追いつかないというような。
ビル影で生きている黒猫からも過去に囲まれた僕は見えない/中島裕介『Starving Stargazer』→影は暗くて、しかも黒猫。それに対応するのが「過去に囲まれた僕」で、これがおそらくは影と黒猫かそれを超えるくらいの暗さかあるいは見えづらさを持っている。過去に囲まれるとは、過ぎたことにとらわれているということか。
真夜中に碧きベランダを洗いて月へのプールサイドとなさむ/中島裕介『Starting Stargazer』おわりの方は比較的平易になっているように見えるが、そこからもあんまり拾えないなあ。
というわけで、面白そうなところはよくわからないし、英語の入力が大変だから気軽に引用できない。わからないなりに言葉選びは面白い。韻だよ、パロディーだよ、というのはわかったが、やっぱり分からないと入ってはいけない。「面白かった」というより、「面白そうだった」が近い。
で、後半は少しわかってくるが、わかったら楽しめるかというとそうでもない。難しくなくなると同時に失われるものがある。
年が近いから通じるものがあるかなとか思ってたんだけど、そうでもないね。歌歴は長いんですね。年は近くても歌歴が10年以上違うと同じ世代って感じがあんまりしない。
この歌集については以上です。
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