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連作・歌集のタイトルで最近増えてるもの

こないだ短歌研究新人賞の発表がありましたけど、その連作タイトルが
「ルーズリーフを空へと放つ」(郡司和斗)

「拡張子になる」(中野霞)
だったんです。

「放つ」とか「なる」とか、動詞の終止形で終わるタイトルって、最近になって増えたような気がします。調べてみました。



短歌研究新人賞だと2000年に
「冥王に逢ふ-返歌」(紺野万里)
というのがあって、それが最初の動詞の終止形で終わっているタイトルなんです、と言いたいところですがこれは微妙なところですね。

そのつぎになると2018年の
「この人を追う」(工藤吉生)。
で、そのつぎにさっき書いた2019年の「ルーズリーフを空へと放つ」、「拡張子になる」がくる。



これではまだわからないですね。もっとほかの新人賞も見ましょう。




角川短歌賞
2007年「桃花水を待つ」(齋藤芳生)
2016年「魚は机を濡らす」 (佐佐木定綱)、
「輪をつくる」(竹中優子)。




歌壇賞はこんな感じ。
1990年 「Bird lives - 鳥は生きている」 (白瀧まゆみ)
1993年 「つばさを奪ふ」(目黒哲朗)
2006年 「夕暮れを呼ぶ」(樋口智子)
2015年 「花を踏む」(小谷奈央)
2016年 「微笑みに似る」(飯田彩乃)
2017年 「利き手に触れる」(大平千賀)



なんとなく増加傾向だなって話です。

三つの賞を合わせるとこんなふうです。
1981-1985 〇
1986-1990 一
1991-1995 一
1996-2000 一
2001-2005 〇
2006-2010 二
2011-2015 一
2016-2019 七


ほら。2010年代の後半になって急激に増えているでしょう。

新人賞の受賞作だけでざっと見ました








歌集を対象とした賞でも見てみました。

現代歌人協会賞

2003年『みづを搬ぶ』(渡英子)、
2014年『てのひらを燃やす』(大森静佳)



日本歌人クラブ新人賞

2011年『桃花水を待つ』(齋藤芳生)、
2014年『てのひらを燃やす』(大森静佳)



現代歌人集会賞

1986年『薔薇を焚く』(桜庭英子)
2013年『てのひらを燃やす』(大森静佳)
めずらしく80年代が入っていました。


2009年『ちろりに過ぐる』(森井マスミ)
っていうのがあったんですが調べたら「過ぐる」は終止形じゃないんですね。お恥ずかしいんですが、このへんのことは明るくないんです。不安なのでよく検索します。




新人賞三つ、歌集の賞三つを見ました。合わせるとこのようになります。

~1980 〇
1981-1985 〇
1986-1990 二
1991-1995 一
1996-2000 一
2001-2005 一
2006-2010 二
2011-2015 五
2016-2019 七



ほらやっぱり増えてるでしょう。
っていうか『てのひらを燃やす』って三つも賞を受賞しているんですね。
その重複を避けるなら2011-2015が「三」となります。

『てのひらを燃やす』のようなひとつの大きな作品が、後続の作品の題名に影響を与えているということも考えられます。
それを言うんならもちろん、映画や小説や音楽や、外部の影響を考え合わせないわけにはいきませんが、そこまでいくと手に負えません。


というわけで、なんとなく増えてる気がするものが、やっぱり増えてたという話でした。

Wikipediaで調べました。




このかたちのタイトルだと助詞はだいたい「に」か「を」なんですね。「は」も少しある。「が」とか「で」とかがあっても不思議じゃないんですが、ありません。
助詞がなくたっていいんですよね。助詞の代わりにスペースをあけるとか「、」や「・」を入れるとかも考えられます。
動詞だけのタイトルはありませんでした。


そう考えると、連作や歌集のタイトルには傾向があり、そこに余白が生じているように見えます。

こうした傾向というのはこれからも変化していくことでしょう。






以上です。んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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