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松村由利子『光のアラベスク』  ~すごくうれしいかも、ほか

歌集読む 203



松村由利子『光のアラベスク』
2019年5月。砂子屋書房。「令和三十六歌仙」というシリーズの1。



免罪符買った粉屋のおかみさんみたいに募金の領収書もらう
/松村由利子『光のアラベスク』



逡巡はインクの色を変えるから「好き」という字が濃くなりました
/松村由利子『光のアラベスク』



サリンジャーの新訳読めば若者は「すごくうれしいかも」と喜ぶ
/松村由利子『光のアラベスク』

→新訳よりも若者の言葉のほうが先に行っているんだろう。「かも」がついて、自分の気持ちもはっきりしない。



大鍋に放り込むのはかつての恋よくもよくもと木べらを回す
/松村由利子『光のアラベスク』



やがて土に還ることわが最良の仕事だろうか草を引きつつ
/松村由利子『光のアラベスク』

→土に還ることと、草を引くこと。行動と思いはズレる。
草むしりしながらものを思うことがオレにもあるので丸つけた。



丸つけた歌はそれくらいです。

前提とされる知識があって、それがオレにはないのであまり読めなかった。
「パール・バック知らない若い人」とか言われても(パール・バック知らない若い人といて知識はそうね皺に似ている)、
若くないのにパール・バック読んでないオレとしてはおもしろくない。

あと、問題意識ですよね。それがオレには共有されてないのであまり読めなかった。

古いものほど愛着があって、新しいものほど馴染めないことがよく詠まれる。オレもわりとそうだけど、それを何度も言われるとつまらなくなってくる。




ニ一〇〇年この子もきっといないだろう人類滅亡いよよ迫り来
とか見ると悲観的だなと思う。帯文には《未来の明明を願う著者の祈り》ってあるけど、ほんとに願ってるのか疑ってしまった。「この子」が中年とかだったら2100年にいないとされることに納得するけど。

望みが薄くても「この子」の世代に期待するしかないんじゃないか。応援するしかないんじゃないか。それが明るい未来を願うってことだよ。そのために意見とか行動があるんじゃないの。ちがいますか。

そのいっぽうで
絶滅は危惧されずもっと恐ろしき未来がわれら人類を待つ
ともいう。

どう思いますか。
整合性という点でも、詩歌としてどうかという点でも。






この本おわり。
んじゃまた。




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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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