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短歌ムック『ねむらない樹』vol.1を読む  ~あなただけ方舟に、ほか


短歌ムック「ねむらない樹」vol.1

読みました。2018年8月。



あなただけ方舟に乗せられたなら何度も何度も手を振るからね/馬場めぐみ
→短歌研究2011年10月号ってことは、受賞第一作か。
方舟……ってことはすごい洪水が起こってて、乗れなかったら確実に死ぬやつだ。男女一組ずつ方舟に乗るんじゃなかったっけ。ああ。



感情が顔に出なくて損をするあるいは得をする こんにちは/相田奈緒



もっとそばにいたかったのに春 花弁 夢だって何だってこころの/井上法子「ひまわりとおねむり」

→「夢」以下、はっきりしなくなっていく。「春 花弁 夢」でつないで「だって」でつないでいるが、下の句はなにも見えないしわからない。だからこそ「そばにいたかったのに」がぐっと迫ってくるんじゃないか。



目薬が目玉に落ちるのを見てたその日の地球美しかった/武田穂佳「その日の地球」
→目薬をさすイメージが、宇宙から見た地球と重なってきた。眼球が地球。地球にも、なんかおおいなる一滴がもたらされてる感じだ。結句の「美しかった」が、ガガーリンの「地球は青かった」みたいだ。



欠けてゆく月の出る夜 かんぺきで自信ありげな猫背を見たよ/宇都宮敦「ギブン・ソングス」
→月って満ち欠けしてるから、そのとおりなんだけど、欠けてゆくのが見ててわかるわけじゃない。だから知識が入ってるんだよね。後半は見たものを言ってるけど「自信ありげ」にものの見方がある。
欠けた月の形と猫背を横から見たところは似てる。けど月は欠けてて猫背はかんぺき。



「きみは青いドレスだったね」と囁いて有料チャンネルの中のわたしに/鈴木美紀子「花の礫」
→女優に自分を重ねているのか。それが映画のスクリーンでなく「有料チャンネル」のなかだ。ロマンティックが「有料チャンネル」にへしおられる。



天国の迷子センターから響きわたる少年たちの戒名/木下龍也「ぼくが見つけるぼくの墓」
→幼くして亡くなったのかなあ。戒名で呼ばれてわかるのか心配。
「天国」で雲の上みたいなのを想像して「迷子センター」でこの世のなんかの大型施設を想像して「戒名」でまたちがう宗教的なものを想像する。そうやってあっちこっちいくのが面白い。



星だってこんな風に生まれたんだと愛のことを話していたつもり/鈴木晴香「星だって」



死ななくてよかった登場人物がしぬとき映画にふる小糠雨/佐々木朔「春睡綺譚」



水たまり回避している夏の朝 わたしのラッキーナンバーは0/原田彩加「文字もあなたも」

→「回避」っていう固めの言い方。「0」は珍しいんじゃないの。ラッキーも、悪いことがなにも起きないからラッキーだという意味に変わるように思えた。そうなると「回避」もラッキーのための行動となる。



丸つけた歌は以上でした。なんかすごく読むのに時間がかかる本だった。広告が少ないし、どうでもいいページがすくないからボリュームを感じるんだろう。







ちなみに。
オレ、工藤吉生の歌は「新世代がいま届けたい現代短歌100」のなかに入りましたよ。

水色のボールころがり土がつく 夢は習字の先生でした/工藤吉生



んじゃまた。



▼▼▼

【こっちもおすすめ】
noteのほうでは、ブログでは読めない内容の記事をたくさんアップしています。




2018年8月のオレの短歌とその余談/連作の歌のつなぎ方
https://t.co/A139XJ2pSk

「短歌研究」2018年9月号・短歌研究新人賞のことを思うぞんぶんに書く【1】
https://t.co/9LDZrsWmr0

【2】
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【3】
https://t.co/f993MV2JHS

【4】選考座談会・前編
https://note.mu/mk7911/n/ncbc826b3e18a

【5】選考座談会・後編

https://note.mu/mk7911/n/n44d84c9e74f6
2018年の短歌研究新人賞の自分のことについて、思うぞんぶんに書き尽くしました。また、選考座談会で言われたことへの応答。




などなど、
500円ですべての記事(約100記事)が読めます。よろしければどうぞ。






プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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