「未来」2017年7月号を読む  ~銀のエンゼルほどの希望、ほか


「未来」2017年7月号。



もうひとりぐらい見ている人がいる気がしていつもみあげる梢/やすたけまり「あたま・むね・はら」




信号が青になるまで立っているしずかな穴に眼球うかべて/蒼井杏「春の穴」

たまらなくたれかと話したき夜レンジに不幸を温めてゐる/藤田正代

書きさしの手紙の中の幾文字か変化していく引き出しの中/平岡ゆめ

異様な歌を三つ引いてみた。歌会なら点をいれるけど、だからって指されたら困りそう。
信号が目玉と響きあっている。
レンジであたためても、ひとりで食べるそれはやはり不幸なのだろう。
見えないものへの想像力。



ベッドより吾の立居を追いながら手があいたならとほそぼそと言う/町田良子



居心地が悪くなるほどの丁寧さ東電賠償相談室は/関琴枝

→居心地悪くなることを狙った対応だったらやだな……。



藤色のランジェリー纏うマネキンのくびれあたりの断面思う/フナコシリエ



値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターぱっと手放す/小坂井大輔「いろはす」

→「ぱっ」がいい。一瞬にして運命が手を離れる。



ぴかぴかをことごとくぼろぼろにする時間の黄ばみ、ひどく不潔な/工藤吉生

透明な水がそのまま透明に凍る正しさ、まだ辛うじて/氏橋奈津子

→隣あうページに載っている2首。四句のあとの読点など、たぶん同じようなことをしようとしているんだと思う。不潔なところまでいくか、透明なまま踏みとどまっているか。



鋏の刃かさなるきはにざらつきてなにをか云ひたげだつた唇/漆原涼
→アンソロジーから。いつか載ってみたい場所だ。
「かさなるきはにざらつきて」がハサミの感触をとらえている。刃物に対して唇がある。言われなかった言葉はするどいあやういものだったのかもしれない。



僕たちは飼い殺されてしまうだろう銀のエンゼルほどの希望に/本条恵
→一枚でオモチャの缶詰が当たるのが金のエンゼル。五枚集めて当たるのが銀のエンゼル。一枚くらいは銀が当たることがけど、なかなか五枚は難しい。一枚の銀に期待を持たされて買い続けてしまう。「エンゼル」に人間があやつられるのだ。
「エンジェル」じゃなくて「エンゼル」なのが、古くからある感じがする。



日本橋さくら通りに花の満ちシャウトしておりロックバンドも/山田美保子
→最後の「も」が効いている。これにより、ロックバンドが花に調和する。



快晴になるはずだった土曜日の消防署の方から来ましたと雲/しま・しましま
→「消防署の方から来ました」は、消火器を売りつけようとするセールストークだ。消防署の「方から」と曖昧な言い方をして消防署職員を装う。「雲」にかかっていくのがとても面白い。望まれない雲だ。



万物がほんとは鶴という噂ひろめるごとしアルヘイ棒は/大滝和子
→評のページから。「アルヘイ棒」が床屋の三色のあれのことだと知った。たしかにあれは催眠っぽいな。というところまでは分かるが「万物がほんとは鶴」になると、おお、大滝さん独特の世界だなあ、と思うばかりだ。



以上です。
んじゃまた。




『未来』に載ったオレの短歌のまとめはこちら。
http://matome.naver.jp/m/odai/2145087691179204501




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#2017上半期短歌大賞 50首 Togetterまとめ https://togetter.com/li/1126231
今年の上半期に読んだすべての短歌から50首選んでまとめました





2017年7月に発表した/掲載されたオレの短歌まとめ|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n3dc9e6680faa

2017年6月に発表した/掲載された短歌まとめ【25首】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n6a0753b5ac49

短歌パトロール日誌【最終回】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n41c835707189

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌編】|mk7911|note(ノート)
https://note.mu/mk7911/n/n2b8ea3aa7fd3

2017年6月の出来事についてあれこれ言う【短歌以外編】|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n68525cac4bfd

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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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