「塔新人賞受賞者競詠」を読む  ~なーんもない新年の空、ほか


「第一回文学フリマ京都 特別版 塔新人賞歴代受賞者競詠」という紙があるのでそこから引いていきます。

永田さんと吉川さんのイラストがあるんだけど、これが良い。クラスで一番絵のうまい女子が描いた、大好きな先生のイラストみたいな味わいだ。

塔新人賞は六回おこなわれていて、その受賞者六人が十首ずつ寄せている。
オレが三回挑戦して、一度も候補にも何にもならなかった賞だ。




とめてあるバイクのミラーに映りたるなーんもない新年の空/清水良郎「近況」
→「なーんもない」の字たらずと投げやり感がおもしろい。バイクのミラーを通してるから何かありそうだし、「新年」はおめでたいから何かありそうなんだけど。ちょっとだけ何かありそうなものが「なーんもない」をはさみこんでいる。



前回の「フワクタンカ」は7つの連作のタイトルがおおよそみんな歌のなかからとられていた。こちらは清水さん一人が歌の中にない言葉でタイトルをつけている。
沼尻つた子さんの「蚤と無料」みたいに複数の歌の言葉からタイトルをつけるやり方を、たまたまオレは最近やった。この方法は、言葉の意外な組み合わせをうみだす。




フードコートはほぼ家族連れ、この中の誰かが罪人でもかまわない/阿波野巧也「かまわない」
→「ほぼ家族連れ」。みんな家族連れじゃないところが、ほんとっぽい。「罪人」は、オレは「ざいにん」と読んだが「つみびと」かもしれない。「つみびと」はやりすぎだから「ざいにん」かなー、というくらいの判断。「犯罪者」より重みがあり、宗教的な匂いすらある。フードコートの軽さとの対比。
「、」はどうだろう。一字あけよりも助詞を入れるのよりも良いと思う。
「かまわない」はゆるしよりも無関心に傾いているんだろうな。
罪人は家族連れなのか、それとも「ほぼ」から漏れて一人でいるのか。もっとも、どちらでも「かまわない」かもしれないが。



まよなかの椅子はことさら硬くなる暗闇に目が慣れてくるまで/安田茜「円になる」
→ひらがなにひらかれた「まよなか」は普通の真夜中じゃない感じがする。椅子の硬さが変わるのはちょっとしたあれですよね。不思議さっていうか(やっぱりこのあたりの語彙がない)。そのうえに「ことさら」がつく。ただでさえ硬いのに、さらに硬くなる。そんなはずがないが、そんな気がしてくる。
暗闇に目がなれれば、椅子が椅子として見えてくる。そうなると硬さが元に戻るってことだと読んだ。「まよなか」の力が椅子を硬くするが、慣れた目で見る者がいるとその力がなくなるのだと。
椅子が人が腰を下ろすためのものだということをしばらく忘れて椅子の事を考えた。



全員にはふれられなかったけど、以上です。
んじゃまた。



▼▼



有料マガジン更新しました。
なりすましアカウント騒動|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/nddf9ca3db36c
なりすましアカウントがあらわれたのでそのことを書きました。


2017年5月に発表した/掲載された短歌をすべて見せます|mk7911|note(ノート)
https://t.co/IMj53ONdsM
これは歌をまとめただけの記事じゃなくて、自分の歌や掲載された媒体についてもいろいろ書いています。有料なので、それなりのことを書いています。



「マストドン歌人」がいるとすれば、それはオレだ|mk7911|note(ノート) https://t.co/bGdq5DVb2T

短歌パトロール日誌【4】2017.5/21-6/13|mk7911|note(ノート)https://t.co/lhsSQSM3jL

すぐに消されたエアリプにこたえる|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n16ba35458c13

帰ってきた汚染歌人
https://note.mu/mk7911/n/n3b3bdf5e932c

短歌と公募と賞金のこと|mk7911|note(ノート)https://note.mu/mk7911/n/n47a017bcce69


工藤の有料マガジン【500円】やってます。よろしくお願いいたします。










スポンサーサイト
プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR