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「えんぴつで万葉集」をやってみた【10・最終回】55-60日目  ~今日降る雪のいやしけ吉事、ほか

えんぴつで万葉集、55日目。筑前の二。

大野山 霧立ち渡る 我が嘆く おきその風に 霧立ち渡る/山上憶良
「大野山に霧が立ち渡る、私が嘆くため息の風によって霧が立ち渡るよ。」
→二句と結句が同じ。
「立ち渡る」は今はあんまり言わないような言葉だ。
「おきそ」はため息。

ため息と霧を重ねるような歌、まえにも出てきたなあ。まえに出てきた時は面白いと書いたんだけど。


ますらをと 思へる我や 水茎(みずくき)の 水城(みずき)の上に 涙拭(なみだのご)はむ/大伴旅人
「立派な男と思う私が、水城の上で別れの涙を拭うなんて。」
→男の涙か。このころから「男は泣くもんじゃない」みたいなのがあったんだな。
「水茎」は「水城」の枕詞とのこと。響きが近い。







えんぴつで万葉集、56日目。まだ筑前、今の北九州のあたりにいる。

志賀の山 いたくな伐りそ 荒雄(あらを)らが よすかの山と 見つつ偲はむ/山上憶良か
「志賀の山をひどく伐るな、荒雄の思い出の山と見て偲ぼうものを。」
→山上憶良に推定の「か」がついている。

この本によれば荒雄というのは船頭なんだね。船を出しているときに暴風雨により船が沈み、亡くなったと。
その亡くなった荒雄のことを、志賀の山を見て偲んでいると。








えんぴつで万葉集、57日目。今日のは難しかった。前提となる知識があって、それを追うのでいっぱいいっぱいで、味わうという感じではない。








えんぴつで万葉集、58日目。

百船(ももふね)の 泊(は)つる対馬の 浅茅山(あさぢやま) しぐれの雨に もみたひにけり/遣新羅使人
「たくさんの船が停泊する対馬の浅茅山、時雨に黄葉(もみち)してしまったよ。」

もうすぐこの本は終わるわけだが、わからないこと、初めて知ることがとても多い。ちょっとかじってみて、逆に難しさがわかった。








えんぴつで万葉集、59日目。なんか急に長いのがきた。いつもは三首なのに、倍くらいの量がある。

柿本人麻呂の長歌を書き写した。長い。石見の海の歌。
海を描写して、置いてきた妻に会いたいという内容。
五音と七音による効果なのか、たたみかけられる感じがある。



笹の葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば/柿本人麻呂
「笹の葉で山がさやさや、さやぐ(鳴り騒ぐ)けれど、私は妻を思っているだけ、別れて来たのだから。」

サの音の繰り返しがひとつのポイントで、訳にもサのところに傍点がある。








えんぴつで万葉集、最終日。新年の歌は知ってたけど、これが万葉集の最後の歌というのははじめて知った。


新しき 年の始の 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事/大伴家持
「新しい年の始めの初春・正月の、今日降る雪が降り積むように、ますます積もれ、良い事よ。」

総合誌の、新年の特集で読んだことがあって知っていた。




これで「えんぴつで万葉集」を終わる。なんとか片付いたって感じだ。
いくらかわかったこともあるけど、まだまだわからないことが多そう。しばらくしたら、普通の入門書も読みたい。
プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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