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木村美映『ロスト・ジェネレーションの憂鬱』を読む  ~ねぶた囃子が追い掛けてくる、ほか

木村美映さんのミニ歌集『ロスト・ジェネレーションの憂鬱』を読みます。

このミニ歌集には百首あまりの短歌が収録されている。最初の「発刊に際して」によると、木村さんは小学生のころから短歌を作っている。壮絶な人生を歩んできたことが簡潔に書かれている。寺山や啄木から影響を受けたという。



殴られて血の味がする夕焼けをねぶた囃子が追い掛けてくる/木村美映 「青森ねぶた祭り」
→祭りの短歌だが、なんとも殺伐としている。殴るのも祭るのもどちらも力強い行為だが、個人への攻撃と自然や土地への感謝・祈願では全く異なる。
「追い掛けてくる」ねぶた囃子は主人公に追い撃ちをかけるようだ。本来めでたいことまでが敵になったような苦みがある。



ダボシャツの滝を登っている鯉が勢い余って腕にはみ出す/木村美映 「青森ねぶた祭り」



野田村に担いだ瓦礫の柱には背比べした傷痕のあり/木村美映 「虎落笛(もがりぶえ)」

→野田村は岩手の知名。
誰かの思い出だとわかっていても、撤去しなければならないという葛藤か。



米は尽き財布もついに空になり炬燵の中より初雪を見る/木村美映 「雪降り積もる」
→初雪といっても、これは長い厳しい冬のはじまりを意味するものだ。雪を見たってコタツから出る様子もない。米も金もなくて弱っているのか。
物憂げな冬のはじまりの歌。


殴られたとか米がないとか、今時そういう短歌って少ないように思います。新鮮でした。
ということで「ロスト・ジェネレーションの憂鬱」は終わります。



んじゃまた。
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プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。
2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

「未来短歌会」所属

Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)

第61回 短歌研究新人賞 受賞(2018年)

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