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短歌研究2012年8月号を読む

「短歌研究」8月号購入。

うたう☆クラブは佳作・星なしで、ディズニーの一首が載りました。

ディズニーで手拍子うながす姉さんをオレ以外みんな見ないで騒ぐ

詠草は後ろの方に震災の一連の中の一首が載りました。

全国の週間予報に仙台がなくて茶碗の欠けた縁見る


まだまだですなあ





戦争と短歌の対談を読んだ。戦争とかいつの話だよという気持ちがあったが、こうして歌を読むと生々しい。圧倒される。歌を作ったことない人が死を覚悟した時に歌を作った云々という部分が印象的だ。

犯されしままに地上に横たわる女を次の兵また犯す(川口常孝)





短歌研究を最初から読む。なかなか最初から読む気になれないと思ったら最初のページが「わが四十年」という作品だからだ。知らない人の「わが四十年」とかいきなりアレだ。




仔犬より仔犬見つめる人達の顔が好きだヨ 春の陽の中(藤岡武雄)

ほぼ唯一口語で、見事にコケている。穂村さんのエッセイにあったよね。語尾のカタカナで女の子に見放されるエピソード。





とある日のクレヨンしんちやん父親の飲んでる酒の名はしたごころ(大崎瀬都)

チョコビーにしろアクション仮面にしろ、ネーミングがうまいんだよねクレヨンしんちゃんは。「サトーココノカドー」っていうスーパーの名前、まだ覚えてる。

「クレヨンしんちやん」、って。作品のタイトルもこうしていじるものなのか




どの国の船にも付いてゆくならむ鴎きらきら光返して(香川ヒサ)





「休憩中」に似合う絵文字を考えて考えていて休憩おわる(野口あや子)

携帯電話をテーマにした一連。タバコ吸う人ならタバコの絵文字でいいだろうけど、そうじゃなければ飲み物が妥当かな。


そのあたりにサークルKが左で、そこを右にすればすぐです。(野口あや子)

アプリの発する言葉だろうか。文字にするとおかしさがあらわになる。オレの日本語も危ういけどさ……




特集「結社誌と戦争」

読んだ。非常に良かった! 紙不足、検閲などの逆境の中で歌人達が苦労に苦労を重ねて歌誌を発行した様子が記録されている。ページ数の激減、歌誌統合、廃刊。先人の苦労の上に歌誌があることを思うと変なものは送れないなと思った。



82ページに「角?東」という記述がある。人名のようであるが、、、





中城ふみ子賞発表

大賞は中畑智江さんという方。「同じ白さで雪は降り来る」という50首が掲載されている。病院を舞台にした作品だ。いくつか引いてみましょう。

橋はただ橋を続ける 夕ぐれの深度を計る物差しとして

選評にも引用されている。見立ての美しい一首。いいなあ




窓ばかり並ぶ廊下に圧倒的多数のような青空に遇う

大きな窓なのでしょう。そしてよく晴れた空なんでしょう。気持ちが良いです。




銀色の自転車ばかり捨てられた世界の端にひかりあふれる

「ばかり」のある歌が目立つ。

銀色の自転車とは安価な自転車でありそれゆえ躊躇なく捨てられる。そして、でかい物が捨てられるのは端っこだ。
オレも銀色の自転車に乗ってる。




中城ふみ子賞の次席は今井心さんという二十歳の方だ。選ばれて掲載されている。選評で引用されている次の一首が代表的な作品とみてよいのだろう。

デコポンを食べることより難しいことはしたくない例えば愛とか




なましろいケーキに金属さしながらひといきついて女子には飽きた

フォークを金属と言ってるのが面白い。「なましろい」というとつまらない白さのように見えるし、これも面白い。





追悼座談会「安永蕗子の歌を読む」

夜のふけの孤り嘆きやそろへたる膝に置く掌が姉妹のごとし(安永蕗子)     




麦秋の村すぎしかばほのかなる火の匂ひする旅のはじめに(安永蕗子)

いいねえ。火の匂ひ、がいい。




安永蕗子追悼座談会を読み終えた。表現は格調高いし自然詠を重んじるというところもあり、自分から遠いというイメージは変わらない。

毎朝ファックスで会員にテーマを送り題詠させる、という指導法が印象に残った。






書評

「ああ、何てこったい」誰かつぶやいて去りぬ梃子でも動かぬ地球(島内景二)




刀にて斬らるるリアル爆撃にちぎらるリアル……嘔吐(木村雅子)





作品季評

泥つきのまま束ねられ朝市の仙台葱はくの字のかたち(小林幸子)

震災の一連であり、その文脈で仙台葱が描かれている。
オレは宮城で野菜に関わる仕事してるんだが、くの字に曲がった宮城県産「曲がりねぎ」なんて震災前から普通に流通している。曲がっててもよく売れる。



ここでの3者の短歌はあまりピンとこなかった。小島なおが美人なのはわかった。




短歌研究詠草



今回の特選は、5首がそれぞれ別なことを詠んでいて関連がない。バラバラな5首でも勝負できると知る。




不確かな未来に触れているように子が大玉を転がしてゆく(小沢まき)

準特選から。26点も持ち点があるとはたいした投稿者だ。オレの持ち点は2点……うっうっ。
この一首はうまいと思う




摩訶不思議こんなところにスミレ咲きあんなところにコンビニが建つ(平井俊子)




ほほの木を見上ぐる妻の後ろから我が見てゐる妻とほほの木(本川克幸)

夫婦の暖かさが嫌味なく伝わってくる。





もうどんなことにも思いわずらわぬいのちとなりて大木は立つ(石橋佳の子)

大木はいいよなあ。命の在り方として。




交配の果てなるわれら地の下を走る列車を運ばれてゆく(長井綾乃)

迫力ある。






道路にてクラブ振り居る隣人に我は背を向けタオル干しおり(矢野義信)

1首のみの掲載の人達の作品を読んでいる。





この星は母なる宇宙の羊水に育まれつつ眠る夜を持つ(三上糸志)

よくわからないが、このスケールのでかさは嫌いじゃない。





詠草は読み終わった。

うたう☆クラブで気になるのは、佳作でオレの上に掲載されている人が26歳なのに「われ老いにけり」って歌を出してることだ。ギャップを狙ったのかな。    





 
プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

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