FC2ブログ

人狼・ぼくは(30首)  ◆工藤吉生ブログ歌集<8章>

人狼・ぼくは




作文をいつも「ぼくは、」で書き始める素直なオレはどっか行ったよ



いいことはなんもないけどももいろの花をながめてだましだましだ



信号を待ってるあいだ灰色の壁を見つめる 透けりゃいいじゃん



力こめ丸めた紙が(ゆるせないことだが)元に戻ろうとした



ガムテープ貼られた郵便受けのこと思い出してる橋の中央



なぜオレをブロックするかわからない。わからないのが原因だろう



マーガリンの違いだったら知らねえなマーガリン野郎に訊けばいいだろ!



がんばろう? それは地震のやつですか今それオレに言ったんすかね



一杯の水にうるおう人間を一億倍の水はのみこむ



魔女狩りを一千分の一にして人狼ゲームに人はうるおう



むらびとを殺しオオカミ守りぬく選考会を立ったまま読む



狼の群れにもきっと入れない朝とか昼は人間だから



なぜこんな植物も知らないのかとうすらわらいだ吊るしてみよう



粉は先、液体スープは後入れと知っているからマウントとれる



本当に思ってるかはわからない「ごめんなさい」にイイネやっとく



「芸術のようだ」を敷いて「食べるのがもったいない」を乗せて完成



触れられて倒れのたうち回ってるサッカー選手を見下ろす主審



テキトーにやってんのかと疑って聴いた祭りの笛のひょろりら



坂道でアイス食べてもいいかねえだめかねえもう三十八歳



生きていてごめんなさいと身を守るため言ったんだイイネがついた



昼に寝て夜起きている日に聞いたまったく獣じみてる悲鳴



まばたきとそのつぎにしたまばたきのあいだだけいたとうめいなひと



いきものをすごく怖がるロボットを頭の中で歩かせてみる



空席の前で吊革持って立つあんたの富をオレにくれなよ



ルーレット回して給料決めましょう人生ゲームの子持ちフリーター



行きたくて行ってみたのさ土砂降りの夜の公園 そっちこそ誰



気が利いてるつもりのオレのあいづちが鳴り響いてるまっくろの部屋



眠ってる人にさわると眠ってるなりに自分を守ろうとする



腹をもむ いきなり宇宙空間に放り出されて死ぬ気がすんの



ぼくは、なわ飛びがとく意です。スキップ飛びが、とても楽しかったです。





※出典
『短歌研究』2018年10月号
短歌研究新人賞 受賞後第一作
(一部変更)




スポンサーサイト



この人を追う(30首)  ◆工藤吉生ブログ歌集<7章>

この人を追う




砂嵐以外は何も映さないテレビを思う 風の水面に



公園の禁止事項の九つにすべて納得して歩き出す



キスをする距離のふたりがオレのいるあいだはせずにいてくれていた



てのひらで暴力団を止めようとしてる女はポスターの中



マスタード・ケチャップ同時にかけられる便利パックも散乱のゴミ



ボケというひどい名前の植物の背丈がオレとそうかわらない



左肩にかけてたカバンを右肩にかけてパラレルワールドみたい



黒髪を生やす力のおとろえた頭を下げて求めたゆるし



力の限りがんばりますと言わされて自分の胸を破り捨てたい



「サイコロをもう一度振り出た数を戻れ」もどれば「一回休み」



〈ラーメン〉と赤地に白く染められた決定的な幟はためく



並盛りと言ってもかなりの量がくるしきたりを受け入れてわれらは



コクとキレ知らないものを知っているみたいに半ばまで来てしまう



スープまで飲み干し思う破滅から地球を救い胴上げされたい



現金のように使えるポイントのもう戻れない無垢の心に



この人にひったくられればこの人を追うわけだよな生活かけて



頭を掻くつもりで上げた左手の先が帽子の中へ潜った



考えず腕組みをして不機嫌に見えそうだなと思ってほどく



何をしても落ちなさそうな黒ずみに両足で立ち〈1〉と〈閉〉押す



ひらきだす自動扉の前に立ち通れるようになるまでの無為



むらさきとピンクの歌が漏れているこのスナックの名を「蘭」という



なんとなくいちごアイスを買って食う しあわせですか おくびょうですよ



わかるけどそうは言っても死んだまま一生過ごすことはできな




脱ぎ捨てた靴下ふたつの距離感を眺めていれば鳩時計鳴く



全身に力こめれば少しだけ時間を止められないこともなくない



手を腰にやってコーヒー牛乳を飲んではみても傷もつ心



トリックをすべて解かれてうらみつらみねたみを2分言う殺人者



次にくる年号を予想する人がテレビの中に座ってて邪魔



水を吐くオレを鏡に見てしまうモザイクかけておいてほしいな



見たくないものが日に日に増えてくるオレの一人の部屋の消灯





※出典
『短歌研究』2018年9月号掲載
短歌研究新人賞 受賞作

ぬらっ(56首)  ◆工藤吉生ブログ歌集<6章>

Fotor_157058388352617


ぬらっ




憎しみを社会に向けてひとに向け自分に向けてそこで落ち着く



「死ね」という言葉によって君の持つ説得力が自殺したのだ



学級会 トイレでズボンを脱がされた話にみんなで耳澄ます午後



安全を求めるうちに狭い方暗い方へと追われる獣



朝起きて「おやすみなさい」のメール読みそれに答える日本語がない



鬼の面 年々かわいくなってきて豆がイジメになる日も近い



地下鉄に自殺防止の柵できて人を押してもせいぜい打撲



伝わったようだがオレが言ったのと逆方向に行く迷い人



絵日記の中の家族が一列に並んで立って笑うのを見た



指されてもわからないから黙ってる「座っていい」しか聞きたくはない



解答欄ずっとおんなじ文字並び不安だアイアイオエエエエエエ



ばれなけりゃいいさと風呂で小便をすればなぜだかいつもより濃い



殺人をしてしまったら殺人をしてない人に憧れそうだ



オレ以外みんな真面目に生きていて取り残された気のする深夜



戦いに行きはしないが深刻なポーズをしてるガンプラとオレ



黄色い紙郵便受けに入ってて読んで捨てたらまたも黄色い



祈りとは声も指先も届かない者にダメ元で伝える手段



二十年通い続ける床屋だがいまだ『ドカベン』開くことなし



ヒョウ柄の強そうな人を後ろから見ているオレの柄はチェックだ



プロ野球選手のシールを集めるがG. G.佐藤ばっかり当たる



このオレの入浴シーンを謎として見る猫アリス牝7ヶ月



シューティングゲームのうまいやつが来て雨粒全てよけて帰った



歴史上すべてが大事教科書をキラキラさせる君のイエロー



戦場に細川たかしの笑い声 ハッハッハッドカーンハッハッハッドカーン



関東や関西イベント盛り上がりひとり東北に歌書読むオレは



桜の木見上げて写真を撮るひとの片方曲げた足がよかった



精子以前、子のない頃の父の食う牛丼以前、牛や稲穂や



人生をやってることにはなってるがあまりそういう感じではない



Aだねと言われてBへ歩み出すオレの進路は危ういだろう



重役が何人か来てその中の不吉において抜きん出た顔




うんこ味のカレーのほうを真剣に選んだ君の頬に飯粒



55を20と20と15とに分解してる雪道の上



幸せなあちらのオレが今ここのこのオレを思いぞっとする夜



ぱぴぷぺのポップコーンに固いのがあって口からいま出すところ



ああ人は諭吉の下に一葉をつくり英世をその下とした



ストローで飲み終えた後しばらくはスースースースー吸う男性だ



美しく映る鏡があるならばそれには映らないよう走る



透明なガラスのせいで進めないふりがうまくて行かないで済む



生命を恥じるとりわけ火に触れた指を即座に引っ込めるとき



水色のボールころがり土がつく 夢は習字の先生でした



「少年よ神話になれ」と口ずさみ楽しげな現実のおじさん



柔道の授業で早く負けようとやわらかく踏む畳のみどり



東京に行って頑張りたいなどと聞こえるベンチにまどろんでゆく



ああオレもナナコカードを勧められ断ってああ人間してる



女子バレー見慣れたころに男子バレー見ると驚く見慣れるまでは



ワンタンメン専門店の前を過ぎ唱えるわんたんめんせんもんてん



「ああいうふうになっちゃだめだ」と十歳のころに言われた指をさされて



お時間があれば話をしたいという声しりぞけて暇もてあます



おみこしになって元気な人達にかつがれたいな年に二回は



雪かきにも草むしりにもあらわれる中途半端なオレの性格



ヨーグルトを容器とフタとスプーンとスプーン袋にして食べ終える



オレに対し決定的な一言を持っていそうな沈黙の人



好きなだけ言わせといたら在日で生活保護で毛が無くて死者



政権とハラスメントの絶望をフォローしすぎた切り捨ててゆく



美男美女だけのドラマにダンプカー突っ込んで結局は感動



膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺







うしろまえ 20首  ◆工藤吉生ブログ歌集<5章>

うしろまえ  



泳いでる海がみるみる干上がってゆく感触の果てに目覚める



休日の朝七時から一日をなぜだかあきらめてしまうんだ



十七の春に自分の一生に嫌気がさして二十年経つ



悪口を言われてる気がすることを自己紹介の途中に言った



パトカーが一台混ざりぼくたちはなんにもしてませんの二車線



電柱を登ってゆける足がかりとても届かぬ位置より生える



うしろまえ逆に着ていたTシャツがしばし生きづらかった原因



「呪われたみたいに肩がこってる」と言ったオレだがなぜ分かるのか



自己嫌悪にうっとりとしているあいだベルトゆるめに締めている手は



おそろしい形相をした歳月がうしろからくる 前からも来た



出前用バイクは昨日見た位置の五十センチほど後方にある



あたためたはずのパスタが冷たいのも自分のせいと知るべきだった



田舎芝居「平謝り」を披露してそのブザマさにより許される



まったくの時間の無駄と知っていてなお口喧嘩必殺の法



ドブに捨てるようなものだと冗談に聞こえるように言って千円



バカにしているのを見やぶられかけて次の細工は丁寧に編む



他人への刃がクシャミしたせいで自分の胸に、ほら刺さってる



目を閉じて夜の電車に乗っているできれば耳も脳も閉じたい



ぼろぼろを渡って帰る二十二時ぼろぼろは来てくれた部屋まで



死にたくて飛びこんだ海で全身を包むみたいに今日を終わらす




※出典
『未来』2018年1月号掲載
2017年度 未来賞受賞作




ピンクの壁  ◆工藤吉生ブログ歌集<4章>

ピンクの壁





朝起きた途端に夢はくじかれて強制的な現実のなか



鏡では見たことのある顔をした自分自身で見る窓の外



道端に落ちてるマスクを無理矢理に着けさせられる予感 朝もや



ベランダで煙草くわえる男性に見下ろされれば行き急ぐのみ



まぶしがる顔といやがってる顔の似ていてオレに向けられたそれ



走馬灯ながれるとして見どころのないこともない現時点まで



左手になにか隠した短パンの右手の振りがオレを追い越す



戦えばオレをぶちのめせるだろう中学生の低い挨拶



公園を公園らしく見せるための装置のような利用者たちだ



投球を追ってくわえて駆け戻る犬の賢さ健全である



ゲートボールをしているそばを通るとき「地球は丸い」と声が聞こえた



たくさんの子供がしがみついている巨大遊具を正面に立つ



標識の落石注意に落石は四つ描かれてどれも真っ黒



憎しみがうまく言葉にのってきて舗装途切れて土に踏み出す



N君の家が床屋であることをどうして笑ったんだろオレは



再会のN君に根掘り葉掘り訊かれごまかす二十年の生き方



いいんだよオレのことなどどうだって、などと言いニヤニヤしてみるが



モザイクをかけたみたいだ拡大をしすぎた結婚式の写真は



いつかまた会おうと言ったN君の記憶の顔は顔のみで浮く



みんなして飛び回っててオレだけがうつ伏せなのだ ぼろい畳に



映像で見たか実際されたのかもうわからない裏切りのこと



公式を用いてオレの持つ価値をゼロと証明しそうな人よ



媚びている自分醜く頑迷な自分到底見れたものじゃなし



ヘアーサロンNITTAにピンクの壁はありピンクだけれどどうしても壁



遠近感狂いはじめて森林が心の奥にあるようである



淋しげな道を選んで散歩して灯りのような桜に出逢う



過剰から散る花々の母親の給料後数日のパチンコ



春になるとおかしな人が出てくると聞こえて自分の胸に手を置く



木でできている電柱を灰色の春の日暮れの下に見上げる



トラックに轢かれ死のうと考えてややふらついただけの車道だ



母親に今日は三千円貸した春の酸素が鼻から入る



夕方のテニスコートをよく見ると二人いてオレを足すと三人



見えてないみたいに避けるヤバそうな人を虚ろなオレや誰かが



なつかしくさせる光の××○××夕陽はフェンス越しにオレを突く



立ち並ぶ夜の桜の一本の一部を特に照らす街灯



うるせえと注意している声だけがオレの耳まで無事たどりつく



何をしても間違っているような夜に縄跳びの音、それも二重跳び



金属が金属を打つ音が五回、六回あってあとは暗闇






※出典
『角川短歌』2016年11月号に一部掲載
角川短歌賞 予選通過作品50首から38首抜粋

魂の転落(10首)

魂の転落





雲と雲と雲と雲との戦乱のまっただなかに電信柱



一日は毎日あるが去り際の太陽が照らし出す雲の群れ



風景を見てるつもりの女生徒と風景であるオレの目が合う



ほとんどの家に入れずほとんどの人にはオレがただのよそもの



君らのはケンソンだろうオレの場合ほんとにダメなんだよ近寄るな



体型のことを言われてひっこめる腹のそれほどでもない動き



鏡には日毎に老いてゆくオレを見つめる目やにのついているオレ



ぼくは衣車、汽車なんだぞー! と駆けてきた子供がオレにぶつかって泣く



「魂の転落」とでも題すべき雲を含んで空暮れてゆく



見とれてた空もいよいよ暗くなり妖しいものの立つ気配する




※出典
『短歌研究』2014年11月号「新進気鋭の歌人たち」

仙台に雪が降る(30首)   ◆工藤吉生ブログ歌集 <2章>

Fotor_157058388352617

仙台に雪が降る




目覚めてもゆるくみじめだ今積もり始めた雪のしとしとしとと



静止した朝一枚にカラス来て自転車が来てはげあたま来る



サンタ帽最初の人だ十二月九日十時三十七分に



雪の中でタイヤがうなる人間の言葉で言えばウーンウンウン



泣いているある時点から悲しみを維持しようとする力まざまざ



知ってると言ってあなたが話し出すエピソードのささやかな脚色



予期しない瞬間に見たオレの顔がクッソつまらんただの男だ



クイズショー不正解者の心地する顔面もろに雪風を受け



あやしげな健康食品販売店の朝の雪かき真っ当である



工事用機械の首は長くのびついにはオレを見つけてしまう



三人で歩いていれば前をゆく二人と後ろをゆくオレとなる



このようにはなりたくないと切り捨てる悪例に含まれているオレ



あわよくば世界を覆い尽くそうと上へ左右へ命は伸びる



午後五時のすでに暗くて〈砂押町〉降りる者なく通過するのみ



   ・ ・ ・ ・
四拍のゲンパツイラナイ
   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七拍のキレイナミヤギヲトリモドソウ



仙台の町にウサギとサンタいて看板を持つ「原発NO」の



「仙台駅」三文字「SENDAI STATION」十三文字で大差がついた



怪人の手下のようなマスクしたおばちゃんが来た難なくよけた



健全な肉体座る健全でない精神にさいなまれつつ



打ち出され釘に転がる銀玉の特にあっさり消えたものへの



傘を降り落ちないしずくと落ちるしずく何が違っているのでしょうか



近づけば夜のマンホールさざめいていつかは海になりたい汚泥



スタジアム漏れる光の●●○●●照らせば照らすほど川暗く



何らかが押し寄せてくる急かされるようにペンをとるも何も出ず



親指に指紋があると思い出し無性に見たくなり飛び起きる



透明な犬飼ってます透明な犬用のエサ食べさせてます



震災にヤマザキ春のパン祭り景品皿に傷ひとつなし



名を呼んで伸ばされた手は届かずにみんな枯れ木になってしまった



そんな気がしてきただけさわたくしもあなたもいなくなった海底



そこここに空を見ている人がいて青さを喜び合っている夢




※出典
『短歌研究』2014年9月号に一部掲載
短歌研究新人賞 候補作




【1】眠り男 10首

◆工藤吉生ブログ歌集◆




眠り男





問題に取り組むよりも問題を忘れることで生きのびてきた



欲望が背中で床を這ってきてこちらのオレをがっかりさせる



CGで作った顔は病的だしかし上手にサッカーをする



少年が繰り返す「イブ」みずからの名前を一人称にしていた



3個入りプリンを一人で食べきった強い気持ちが叶えた夢だ



出てきてはいけないものが出てくると思えばやはり出る夢の中



つぶやいている場合だが重要なことをしている場合ではない



夕焼けの赤紫っぽい方を日付の変わるころにとりだす



つかのまのドサクサがありあのひとと乾杯のカチンを交わせない



寝るほどに疲れるようだ 起き上がりぼんやりとしてもう一度寝る


◆工藤吉生ブログ歌集  まえがき/もくじ/もくじ

まえがき





工藤吉生の短歌作品をここにまとめます。
2011年8月に短歌を始めてから2019年7月までの8年間につくった作品から300首を選びました。
11の部分に分けました。これからすこしずつアップしていきます。








工藤吉生ブログ歌集


もくじ



【1】眠り男  10首

【2】仙台に雪が降る  30首

【3】魂の転落  10首

【4】ピンクの壁  38首

【5】うしろまえ  20首

【6】ぬらっ  56首

【7】この人を追う  30首

【8】人狼・ぼくは  30首

【9】おもらしクン  7首

【10】バラバラ事件  19首

【11】校舎・飛び降り  50首








プロフィール



工藤吉生(くどうよしお)


1979年 千葉県生まれ。
2011年 枡野浩一『ドラえもん短歌』を読んで作歌をはじめる。雑誌、新聞などに短歌を投稿する。
2012年 角川短歌ライブラリ刊行記念 わたしの一首コンテスト 大賞。
2012年 塔短歌会に入会。
2015年 塔短歌会を退会。未来短歌会に入会。
Eテレ「NHK短歌」年間大賞。
2017年 未来賞。
2018年 中城ふみ子賞 次席。短歌研究新人賞 受賞。

仙台市在住。



note
https://note.mu/mk7911

工藤吉生日記【300円】note
https://note.mu/mk7911/m/m94efea4348b3

有料マガジン【500円】note
https://note.mu/mk7911/m/mecb8b79

NAVERまとめ(作品まとめ)
https://matome.naver.jp/m/mymatome/mk7911



ツイッター:
工藤吉生(くどうよしお)
https://twitter.com/mk7911

工藤吉生の短歌bot
https://twitter.com/mk7911_bot

工藤吉生の動向(告知用)
https://twitter.com/mk791122

原佳子『空ふたたび』  ~一文字に結んだ口もと、ほか

歌集読む 215
原佳子『空ふたたび』。
ながらみ書房。2019年7月。第一歌集。



ちぐはぐな気持ちと一緒に抱え来し甘夏ひとつ転がりてゆく
/原佳子『空ふたたび』



看病が介護にかわり夫とわれ覚悟を決めて子を抱くなり
/原佳子『空ふたたび』

→小学生のお子さんが交通事故にあう。
詞書として「病院に泊まりこみして丸二年十か月たちわが家に戻る」とあるが、これも短歌になっている。形は短歌だが説明的なので詞書になっているのだろう。



蝋のいろに変わりてしまいたる吾子よ棺を閉ずるまでを抱きいて
/原佳子『空ふたたび』

{短歌の本読む 100} 「短歌生活」第8回角川全国短歌大賞作品集 https://t.co/CQSAnPEWfU

この歌は以前このブログで取り上げたことがある。『短歌生活』という、角川全国短歌大賞(新人賞ではない)の作品集で読んだのだった。
それから、2017年の上半期短歌大賞に選んだ。
#2017上半期短歌大賞 50首 - Togetter https://togetter.com/li/1126231



子は逝きぬ 部屋のベッドを片づけて虚ろというに呑みこまれゆく
/原佳子『空ふたたび』



一文字に結んだ口もと忘られず一年かけっこスタート前の
/原佳子『空ふたたび』

→お子さんは小学一年生で事故にあったとあとがきに書いてあるので、事故の直前のころか。走り出す前の集中した口もとだ。一年生ならば、人生だってスタートしたばかりでまだまだこれからというところだ。



ぬばたまの夜の川面がほの明し花びら揺れて君は笑まいて
/原佳子『空ふたたび』



庭先にバドミントンを打ち合いて娘(こ)との間合いを測りておりぬ
/原佳子『空ふたたび』

→実はこの歌もとりあつかったことがある。角川短歌2013年8月号の題詠「庭を詠う」に載っていた歌だ。
さっきは角川全国短歌大賞がでてきたけど、いろいろ投稿をしていた方なんですね。

「娘との間合い」というのが、バドミントンをうまく打つための間合いでありながら、親子関係の間合いのようでもある。



手に巻いた包帯やっと薄くなりペンをはさんで「ありがとう」と書く
/原佳子『空ふたたび』

→なんの怪我なのかは前後を読んでもわからなかった。
まだ完治しているわけではないけれども、ペンをなんとかとれる状態になって、お礼の手紙かなにかを書いている。人柄の良さがあらわれている。



朝採りの胡瓜のみどりみずみずし藤井四段の前傾姿勢
/原佳子『空ふたたび』

→藤井さん、一時はかなり短歌に詠まれていたような気がする。きゅうりがすごく新鮮そうなのがいいし、前傾姿勢をもってきたのもいい。




この歌集はここまでなんだけども、原さんの歌をオレはもう一首このブログで取り上げたことがある。この歌は歌集に収録されなかった。

ライン入りハイソックスの似合う脚 わが夢の野を駆けまわるなり
/原佳子『未来』2018年2月号

→この健康そうな足は亡くなった子の足なのだろうと、歌集を読んだ今は思う。




以上です。この本おわり。




プロフィール

工藤吉生(くどうよしお)

Author:工藤吉生(くどうよしお)
仙台市在住。2011年に枡野浩一さんの「ドラえもん短歌」の影響で短歌を始めました。

▽短歌雑誌「短歌研究」「角川短歌」などの読者投稿欄、
▽新聞歌壇「毎日新聞」「日本経済新聞」「読売新聞」「河北新報」
▽テレビ「NHK短歌」
などで作品を発表してきました。

短歌結社「塔短歌会」に2012年から3年間所属していましたが退会し、現在は「未来短歌会」彗星集に所属しています。

▽角川短歌ライブラリ刊行記念「わたしの一首」コンテスト大賞受賞。
▽第57回短歌研究新人賞候補。
▽Eテレ「NHK短歌」年間大賞(2016年3月、佐佐木幸綱選)。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さんにツイッターで短歌をほめられたことがあります。

最新記事
リンク
月別アーカイブ
フリーエリア
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR